インターネット版 No.103-3

無名異焼の郷 たらい舟・金山・歴史文化…佐渡を巡る3 町を散策、文化に触れ、景勝地で感動
佐渡の観光名所をぐるり一巡り
 たらい舟体験から始まった佐渡ヶ島の旅もいよいよ終盤。無名異焼のルーツをたどって、窯元、金山と足を進めてきましたが、佐渡の名所は他にもいっぱい! 島のあちらこちらで見ることができる不思議な形の岩々と青い海はもちろんのこと、歴史情緒を残す町並みや今も守り継がれている伝統文化など、世界遺産登録を目指す佐渡の魅力を探して、照りつける日差しを物ともせず、最後の力を振り絞って巡り歩きたいと思います。
『天領として栄えた
相川の町に残る歴史・文化』

 1601年の佐渡金山の開山に伴い、幕府直轄の天領となった相川には奉行所が置かれました。何度か焼失しましたが、近年、安政5年に建てられた奉行所の図面を元に忠実に復元され、一部一般公開しています(大人500円)。
佐渡版画村美術館
 全国的にも珍しい版画の専門館。旧相川裁判所の建物をそのまま利用して仕立てられ、佐渡の版画家、故高橋信一を中心に、島内で活躍した版画家たちの作品、約200点が展示されています。
 この近くには、大変興味のあった三浦小平二氏の「小さな美術館」があり、お話を伺いたいと思い訪ねましたが、残念ながら取材拒否。頑ななまでに写真撮影も阻止され、何か異常な様子を感じとることとなりました。その時は深く考えもしませんでしたが、店内には数多くの作品が並べられ、大方の作品には値札が付けられていました。こんなにたくさん遺作が残されていたのかと不思議に思いましたが、取材拒否のことなどもあり、少し調べてみたところ、作者名が小平となっていて、うっかり三浦小平二氏の物と間違えて高額で購入してしまうところでした。タクシーの運転手などにも現況や工房所在地など聞いてみましたが分からないとのことです。
 江戸時代から明治初頭にかけて約200年にも渡り相川の町に時刻を知らせてきた鐘楼。鐘は佐渡で産出された銅で鋳造され、高さ1.5メートル。 現在でも朝と夕の2回、時を告げています。
旧裁判所のレンガ塀が続くノスタルジックな通りの先に立つ「時鐘楼」
『江戸時代から続く赤水窯』
 「窯変」によって生まれる赤色と黒色の美しさ、独特な線状紋や花紋の見事な表現力が特長。5代伊藤赤水は人間国宝に認定されています。

 尖閣湾に向う途中には「伊藤赤水作品館」があり、5代赤水の作品が多数展示されています。
「赤水(せきすい)窯」
「伊藤赤水作品館」
『グラスボートで尖閣湾観光』
 絶景を望める尖閣湾は佐渡でも人気の観光スポットです。グラスボート(海中透視船)に乗って海中公園内を遊覧。船底に貼られたガラス越しに見る海中の様子、ごつごつとした岩肌が続く見事なまでの絶壁に感動。
 誘導看板に沿って長い階段を下り、洞窟を抜けると透視船乗場に到着。
 映画「君の名は」のロケ地となったことで尖閣湾の名は一躍有名になりました。
 映画の人気から、撮影場所となった「遊仙橋(ゆうせんきょう)」は、通称「真知子橋」と呼ばれて親しまれています。
「真知子橋」
 昭和25年(1950)に国定公園に編入。「日本の渚100選」にも選ばれました。
 手前遊歩道は真知子橋へと続きます。
『佐渡の伝統文化に触れる
“無名異の里”』

 相川に伝わる陶芸と裂織りを体験できる施設です。伊藤赤水、三浦常山、黒沢金太郎など佐渡のやきものの歴史についても紹介。
「相川技能伝承展示館」
子供たちも機織りの体験
「文弥人形」 佐渡に伝わる人形芝居の一つ。
国の重要無形民俗文化財に指定されています。
陶芸体験もできます
 「相川郷土博物館」では相川町の歴史と文化を紹介。鉱山絵巻や佐渡小判など貴重な佐渡金山の歴史的資料も展示され、一見の価値ありです。
「無名異焼民芸品店」と隣接する「北沢窯」
『両津−新潟、そして東京へ』
 帰りは高速船ジェットフォイルを利用して両津港から出発します。航行時間は約1時間、あっという間に新潟港に到着です。ゆっくりと船旅を満喫するならカーフェリーですが、お急ぎの方はこちらが便利。
汽船乗り場
 両津港フェリー乗り場3Fにある屋台風にリニューアルオープンした「海鮮横丁」でお昼ご飯。
 2Fは県内最大級のおみやげ商店街。「佐渡のお土産なら何でも揃う」のキャッチフレーズどおり、左右にずらりと佐渡の名産品が並びます。
 ジェットフォイル、バスと乗り継ぎ、新潟駅に到着。上越新幹線で東京に向います。