インターネット版 No.103

目次
<ルポ>『無名異焼の郷』 たらい舟・金山・歴史文化…佐渡を巡る1
<ルポ>『無名異焼の郷』 たらい舟・金山・歴史文化…佐渡を巡る2
<ルポ>『無名異焼の郷』 たらい舟・金山・歴史文化…佐渡を巡る3
<企画展>明治・大正時代の日本陶磁―産業と工芸美術
無名異焼の郷 たらい舟・金山・歴史文化…佐渡を巡る1 赤倉―直江津―小木―相川
無名異焼の郷、佐渡 『相川』 へ
 新潟県佐渡市は朱泥の急須で知られる無名異焼の発祥地です。無名異(むみょうい)とは何とも不思議な名前を持つやきものですが、その歴史は古く、江戸時代後期から現在まで約200年以上もの間作り続けられている伝統あるやきものです。
 土の粒子がとても細かく、極めて硬質に焼き上がる赤茶色の器肌は使えば使うほどに光沢が増し、独特の艶が出るのが特徴。使い込むほどに味が出るという陶器ファンにはたまらない魅力を持つ無名異焼のことを「もっと知りたい!」ということで、現在も金山の麓に点在する窯元を訪ねて佐渡市へ行ってきました。
『妙高高原で途中下車の旅』
 まずは東京駅からJR新幹線で長野へ。佐渡行きの船が発着する直江津へは長野からJR信越本線を利用します。ガタンゴトンと進む鈍行列車で45分、電車の旅が続いてそろそろお尻が痛くなってきた頃、妙高高原が見えてきました。
 直江津はもう少し先ですが、ちょっとだけ寄り道。今夜は妙高高原の中腹に建つ「赤倉観光ホテル」で一泊、明日への英気を養いたいと思います。
赤倉観光ホテル客室
掛け流しの温泉と本格スパ、女性には嬉しい高級アメニティが揃うリゾートホテル。部屋付き露天風呂からは妙高高原、長野の山をのぞみ開放感抜群です。
2日目
『12:52 直江津駅到着、
佐渡へ向けて出発進行』

 直江津駅から汽船乗り場までは連絡バスを利用して10分ほど。早速港へ向います。
 汽船乗り場の売店に並ぶのはトキをキャラクターにしたお菓子類。佐渡は絶滅が危惧されているトキの生息地としても有名です。今年3月には36年ぶりに野生化でトキのヒナが誕生しました。
 売店を見ているとあっという間に乗船時間がやってきました。汽船乗り場へと足をすすめ、いよいよ乗船です。
広々した船内は佐渡への長旅も満足させる雰囲気。
階段を上がって特別室フロアへ。ホテルのような優雅な空間です。
ここにもトキの絵が飾られていました。
「ベッド付き!!」
特等室に備え付けられたベッドに感動。
下船後の町歩きに備えてゆっくりと休むことができそうです。
デッキへ出て海を眺めながらの旅を満喫(写真左)。1等特別室(写真中)と2等室(写真右)。ちなみに2等船室は大抵このような大部屋ですが、日本以外の国では絨毯に直接座る形式は稀なのだとか。
佐渡ヶ島が見えてきました!
2時間40分の船旅もあとわずか、佐渡の旅に期待が膨らみます。
いよいよ上陸、小木港へ到着しました。
『佐渡名物、たらい舟体験』
 佐渡といえばやはりたらい舟でしょう! ということで早速体験。のどかな風景のなか、優しく揺れる癒し系の乗り物=たらいに乗ってゆらりゆらりと海を漂います。
 小木海岸で体験乗船することができます(大人450円)。
小木港から10分足らずでたらい舟乗り場に到着します。
 ―佐渡に住むお光が恋心を抱く柏崎の呉作会いたさに60kmの佐渡海峡をたらい舟で渡った―という悲しくも美しい恋物語を描いた浪曲「佐渡情話」を彷彿とさせるような佐渡娘の衣装に身を包んだ船頭さん。
 たらい舟はいたってシンプルな構造。
 洗濯桶から改良に改良を重ねて現在のたらい舟になったのだとか。意外なほど安定感があります。11人乗っても沈まないそうですが大人は3名まで。痩せ型グループなら4名まで大丈夫ということです。
貸自転車は散策にグッド。電動アシストなら行動範囲も広がります。
小木港ではモーターボートでの観光もできます。爽快感バツグン。

【金山・窯元・観光名所の多くは相川地域に点在】
 汽船乗り場に戻り、バスで佐和田・相川方面へ向かいます。

 相川への直通バスはないので、佐和田バスステーションで相川方面へ乗換えです。
佐和田バスステーション
『20:23 佐渡会館前到着』
 長いバス旅を終え相川へ到着です。もうすっかり日が暮れてあたりは真っ暗、ホテルの食事にも間に合わず、営業中のお店もなかなか見つかりません。「もうだめだと…」あきらめかけた時、暗闇の中で煌々と光る寿司屋の看板が。
 「やれやれ」という思いで店内へ。やっとのことで見つけたお店は佐渡の美味しい魚介が味わえる『寿司割烹 美松』。席はカウンターとお座敷も用意。
 偶然見つけた寿司屋ですが、大将の八木さんは佐渡のことはもちろん、無名異焼にもめっぽう詳しく多くの情報収集をすることができました。
 ネタはどれもおいしく頂きましたが、冬はもっと美味しいので是非食べに来て下さいとのことでした。
『夕陽にいちばん近い宿で
旅の疲れを癒します』

 佐渡の宿は「ホテル吾妻(あづま)」。佐渡相川七浦海浜国定公園内に建ち、日本海に沈む夕陽を間近で見ることができるロケーション抜群のホテル。敷地面積は佐渡随一を誇り、相川を代表するホテルです。
 客室から眺める絶景。
 日本海の荒波にもまれて作られた独特の景観が特徴で名勝に指定されています。
露天風呂付き特別室「初春」。客室に備え付けられた露天風呂から日本海に沈む夕陽を眺めることができます。
豪華に演出された書斎兼ダイニングルームでお食事。
お料理は佐渡の味覚がいっぱい。なかなかのボリュームで大満足のお夕飯となりました。
朝食は海をのぞむダイニングルームで。朝の日本海はきらきらと輝いています。
 お腹がいっぱいになったら、ホテル内のギャラリーへ。無名異焼作家とその作品が一望できるギャラリーは窯元巡り前の下調べにぴったりです。
 様々な表現で無名異焼を主張する作品が並びます。お土産にも手頃な作品が揃います。
3日目 いよいよ待望の窯元訪問となります。
海が見渡せる広々としたラウンジ。
ここでモーニングコーヒーを頂くのも素敵です。
女将の深見聖子さんやオーナーから無名異焼を代表する作家の情報を頂き本日の取材へと向います。