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 紅葉の美しい季節に紅葉の名所である京都・東山の「東福寺」と「泉涌寺」の間に位置する約50軒の窯元が最大70%引きの価格で販売する陶器市が開催されました。
 およそ100年ほど前に五条坂から京焼が伝えられ泉涌寺門前で窯が開かれました。それは泉涌寺窯と呼ばれ、現在でも京焼の産地として50軒を超える窯元が活動を続けています。もみじまつりはそのような歴史ある窯元を巡る秋のおまつりです。錦秋の東山をバックに、ギャラリー、工房見学、陶芸体験…と芸術の秋にふさわしいイベントが繰り広げられました。
泉涌寺総門

 泉涌寺総門手前の路地が窯元の立ち並ぶエリアの入り口です。住宅街の中、一見普通のお宅が窯元だったりすることもしばしば。作品が外に展示されていなければ見逃してしまいそうです。高価な茶陶も大胆に外に置かれていました。







 京都の典型的な建築構造、うなぎの寝床といわれるようなスタイルの、奥に長い工房を持つのは「景春窯(加春製陶所)」。土ものを得意とする、50年ほど前に開窯した窯です。棚には、色彩豊かで少し厚みのある素朴なフリーカップが並んでいました。
 今日は奥にある工房も開放。乾燥中の作品や普段使用している道具類が間近に! ここで製作しているのかと思うと何ともいえずワクワクしてしまいます。製作スペースにお邪魔できるのも、もみじまつりならではの体験ですね。

青窯会会館
青窯会会館となりの工房。中へ入るとちょうど絵付の作業中でした。職人の方は極細の筆でスッスッと絵付けを施こしていました。見ているだけのこちらの方が緊張…、自然と息をひそめてしまいます。






 各窯元それぞれに特徴ある作品が並んでいます。泉涌寺窯の同じ歴史を引き継いだといっても現在では、多彩な技法やデザインで製作するのが主流のようで、他産地の特徴を真似た商品もちらほら。しかし、そうはいっても雅で豪華な京焼の名を冠した器たちですから、陶器市といっても高額商品が多い印象。他産地の陶器市では数百円の商品が大量に並びますが、こちらは数千円からのものがほとんど。ここでは割引き交渉の腕だけが頼りかもしれません。



 窯元エリアを抜けて紅葉の名所・東福寺へと向かいます。参道手前では清水焼の窯元直売テントや屋台が並び賑わいをみせていました。
東福僧堂


参道の様子

冬桜

 参道は京都屈指の紅葉をひと目見ようと集まった人々で大変な混みようです。
 こちらの参道で有名なのが11月〜12月にかけて咲く冬桜。東福寺入口から50mほどの場所にひっそりと咲いていました。そしてその真下ではおいしいそうな焼きもちの屋台が。焼きもちをほおばりながらしばしの間、季節外れの花見を楽しみました。

 東福寺は広い境内の中に三つの渓谷を取り入れるよう設計され、ここにかかる三つの歩廊橋は「東福寺三名橋」と呼ばれています。最初に渡る橋は臥雲橋です。ここから東福寺で最も美しい景観が広がる通天橋を見渡すことができます。この臥雲橋からの眺めは写真撮影の人気スポットです。


臥雲橋から眺める通天橋


 紅葉に感激した後は京都一の大伽藍が立ち並ぶ境内を散策しました。現存するものの中で最古・最大級の三門です。あまりの大きさにかなり離れないと全体を見渡すことができません。三門ではじめて国宝に指定されました。三門と並び日本最古の東司も必見。重要文化財に指定されています。

 陶器市は想像していた賑やかな大廉売市とはことなり、人手は少し寂しいくらいでしたが、窯元巡りと紅葉見物をセットで楽しめば、見ごたえ十分なお祭りといえそうです。兎にも角にも、東福寺の紅葉、一度は足を運んで実物をご覧になることをお薦めいたします。人の波にもまれることを差し引いても感動すること請け合いです。


三門




(取材/KANA)




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