インターネット版 No.94 全5ページ 1 | 2 | 3 | 4 | 5

1 ・<repo> 第43回 女流陶芸公募展
2 ・<repo> 第16回 泉涌寺窯 もみじまつり・窯元大陶器市
3 ・<特集> 人間国宝 濱田庄司展 〜60年が凝縮された15秒〜
4 ・<repo> あっちべた こっちべたフェスタ ・・・ 常滑
5 ・<repo> 第29回 長山賞現代陶芸展 審査結果発表


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 毎年、京都市美術館で開催される女流陶芸公募展。今回で43回目を迎える歴史と伝統ある女性陶芸家のための公募展です。主催の「女流陶芸」は昭和32年に京都でわずか7人の女性陶芸家が集まり発足した我が国初の女性陶芸家集団でした。当時はまだまだ女性の陶芸界への進出は難しかった時代。そのような中で、「自分達で作り上げていこう」という強い信念を持ち続け、現在の地位を築きあげました。
 本年も日本各地から多くの応募があり、厳正なる審査の結果選ばれた入選者たちの創作意欲に溢れた作品が展示されました。

京都市美術館

昭和8年開館。建築家・前田健二郎の設計で建てられました。内装も昭和初期のレトロな魅力が漂います。







■女流陶芸大賞    「積み重なる大地〜消えない汚染〜」 長谷川園恵さん(東京)








     





長谷川園恵さん
第43回女流陶芸大賞受賞インタビュー
 長い歴史を持つ女流陶芸展において、初出品、初入選の快挙を成し遂げて以降、連続4回もの入選を果たしてきた長谷川園恵さんが、第43回を迎えた今回、女流陶芸大賞を受賞しました! 大賞に輝いた長谷川さんに作品や、今後の展望についてお話を伺いました。




―この度の大賞受賞おめでとうございます! 大賞受賞の知らせを聞いた時のお気持ちは?
長谷川さん: ありがとうございます。
信じられなさ過ぎました。大賞をとりたいとは思っていたけど、驚きすぎてしばらくは全く実感が湧かないという感じ。家族も「まさか!?」って(笑)。

―受賞作品は「積み重なる大地〜消えない汚染〜」というタイトルで、これまでも環境問題に関する作品を制作されていますが、環境問題をモチーフに制作しようと思われたきっかけのようなものがあったのでしょうか?
長谷川さん: そうですね、もともと大地を感じる作品を作るのが好きだったのと、大学で農業土木を学んでいたことも少し影響しているのですが。やはり数年前から続く異常気象を実際に自分で体験して、環境問題がすごく身近に感じられたというのが一番のきっかけかもしれません。

―今回の作品の造形が生まれた、その発想の源となったのは何だったのでしょうか? 空き缶のリアルな表現には驚かされましたが、制作の苦労などはありましたか?
長谷川さん: まずは、自分の体より大きいものを作りたいといつも思っているんですね。普段から制作するうえでデザイン画を描いたりっていうのはあんまりしないで、土をいじりながら自然と形を作り上げていくというスタイルでやっています。一番の苦労は釉薬ですね。陶芸の魅力はやはり釉薬、でも掛け過ぎると練込を殺してしまう。釉の良さも出して練込も生かす、このバランスが難しかったです。空き缶の表現については、缶の形に作った粘土を実際に潰して、本物の潰した空き缶と比べながら何度も試行錯誤を重ねて完成させました。

―これまでにも陶芸指導プロ養成塾在学中から連続入選されていましたが、今回の大賞受賞につながった最大の理由は何だったとお考えですか?
長谷川さん: これまでと一番違うのは練込に挑戦したということです。前回の作品から地層の表現をもっとできないかなと考えていて、岡本先生に相談したら「地層なんだからストレートに練込で表現したら」というアドバイスを頂きました。でも練込はやっぱり難しい。しかも大きな作品では失敗する可能性が高くて恐いな…と尻込みしていたのですが、先生に去年を超える作品をと背中を押してもらって大チャレンジで挑戦しました。練込でやっていなかったらこのような賞にはつながっていなかったと思います。

―最後に、今後の抱負をお聞かせ下さい。
長谷川さん: 今回の作品でも強く意識していましたが、必要以上に付け加えないで、シンプルでありながらいかに力強い表現ができるか。テーマを絞ると表現の幅が狭くなってしまうので、環境問題とかテーマを絞らず、土の質感を突き詰めていきたいです。今までもそうですし、これからも「表現」に力を入れていきたいと思っています。


 長谷川園恵さんは7年前に陶芸に興味をもち、本格的に学べる学校を探しました。何軒かの中から陶芸指導プロ養成塾を選んだのは、週一、二度の授業で、茶陶やデザインまで幅広く学べ、指導者も目指せるレベルの高い学校であったからです。
 陶芸を始めてわずか2年で公募展の最高峰ともいえる女流陶芸展にチャレンジできる技術が身につき在学中にもかかわらず初入選を果たしました。大学や専門学校など陶芸を学ぶ学校において在学中に女流展などレベルの高い公募展で入選できるのは稀なことですが、わずか2年でもこのような実力を身に付けられるのが陶芸指導プロ養成塾の凄いところですね。しかし、これだけの実力を付けるには半端な気持ちではできません。それだけレベルの高い授業にくらいついていく芯の強さ、岡本先生の厳しいながらも的確な指導を真っ直ぐに受けとめる素直な精神が陶芸家の登竜門といわれる公募展での大賞受賞という快挙につながったのだと感じました。







■文部科学大臣賞   「魂の記憶 200Q」 塩冶友未子さん(三重)












■河北記念賞   「露草色大鉢」 木希容子さん(大阪)












■京都府知事賞   「大地の種」 宮本朋子さん(奈良)










■会場内の様子

数室の展示室に渡って膨大な数の作品が展示されます




坪井明日香 作

「変貌した女―光と影― 
変貌した女―夜と闇と昼― 
変貌した女―光と風―」




染野幸子 作  「9頁の日記」





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