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58 大輪の花をかたどった今回の鉢。
色も意匠も愛らしい印象ですが、さまざまな釉掛けの工夫がこらされています。さて、その技とは?
カナリヤ黄釉+桜桃釉+織部釉+飴釉+藁灰マット釉

 はじめに釉掛け前のポイントを。 信楽土で成形・削りの後、「桃化粧泥」で花弁の模様をイッチン描きしてから素焼します。
 施釉は、まず中央のシベにカナリヤ黄釉を筆で置く感じで3回ほど塗ります。 その部分を丸く切った新聞紙でマスキング。 紙が飛ばないように重しを乗せ、全体にしっかりと桜桃釉を吹いていきます。 中央を濃く、周りを薄くと心掛けて。 次に、フクロウの下の枝の部分を飴釉で筆塗りしたら、フクロウ自体と、反対側の口辺に織部釉を吹き掛けます。 この口辺の景色は、構図のアクセント。 あまり薄くならないよう、二吹きくらい軽く吹く感じにします。
 仕上げに、全体にうっすらと藁灰釉を吹きましょう。 この藁灰釉は桜桃釉に重なることで白濁した叢雲模様を生みます。 作品全体にふわりとした花の柔らかさがあるのは、まさにこの妙味。 こんな計算された釉使いが隠されていたのですね。 釉の奥深さに、また気付かされました。
    作品:荻野美代子
        高8.5 径26.0×23.0cm





第42回「女流陶芸公募展」レポート
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質の高い作品群の中に、
長谷川園恵さん の作も堂々と

常連作家として入選積む
 昨秋、「女流陶芸公募展」が開催され、受賞作、入選作が会員作品とともに展示・発表されました。 九炉土講師の長谷川園恵さんも見事に4回連続入選を果たし実績を重ね、常連作家として定着すらしているようです。 おめでとうございます!

 また同会の創立者・坪井明日香氏を筆頭にベテラン作家らの作品は完成度が高く、さすがに存在感がありました。
中央が4回連続入選した作。 長谷川園恵「警告」
  
会場の京都市美術館はトラディショナルな西洋建築。 坪井明日香
「発信する女」

   
女流陶芸大賞●平瀬マリ子
「こころもよう」
    文部科学大臣賞●伊藤みちよ
    「窓の通り道」

  
染野幸子 「変奏−U−」     村山恵子 「思想の雫 T・U」

  
ベテランはもちろん、総じて会員作の水準は高いと感じます。





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