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−−花入についてのお話は今号で8回目を数え、興味はまだまだ尽きないのですが、次回からの新たなテーマへと譲りたいと思います。
 そこで今回は、締めくくりとして、花入を作る時の心構えや注意点など、茶人としての視点から教えて頂きたいと思います。

安藤●茶の湯の道具は、結局、お茶をやっていないと分かりません。 簡単にいえば、実際に花を入れて、使わなければ分からないということでしょう。
 それにまた、茶会の時期や意義などがあって、道具はその各々によって異なり、そのなかにあっての花なのですから、大局を捉えて見る訓練をすることが大切ではないですか。

−−はい、そのような取り組みができればよいのですが、なかなか・・・現実的には難しいかも知れません。

安藤●・・・そうですね。 実際には皆さんがそこまでするのは大変だと思いますから、日頃から心掛けて、古いものをよく見るとよいでしょう。 もちろん、優れたものとして評価の定まった道具を、きちんと鑑賞しなければなりませんけれど。
 それら何百年もの時を経て生き残ってきた道具は、多くの人々に共鳴され、意にかなっています。 性(しょう)もよく、もちろん花入としての寸法もよく、様々な条件を満たしています。 そういう優れたものをよく見て学ぶことが重要でしょう。

−−では、使うことを前提にした際の、作陶上の注意点などはいかがでしょうか。

安藤●花入は花を活かすことが基本です。 あくまでも用いて、花と一体となって、美を作りだすことを会得するのが肝要です。 花入は観賞陶器ではないのですから。
 最初は、ご自分が所持している花入などに花を入れてみて、使い勝手のよいのはどういうものか、どの花にはどのような花入が相応しいか、ということなどを見極めてみましょう。
 姿形ばかりにとらわれずに追求していくこと。 そこから、その人の個性が現れた、「花入の美」が生まれてくるのではないでしょうか。              
(構成・編集部)



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