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−−前号では、掛け花入についての、興味深いお話をしていただきました。
 ところで、花入を選んだり、あるいは作ったりする時に、そこに活ける花との相性をどのように考えればよいのか、教えて下さいますか?

安藤●遠州は「花を得て花入を選べ」といっているほどです。 つまり遠州の時代になると、季節感を楽しむような余裕も生まれ、花入ではなく花そのものが、主役の座へと移ってきます。 世の変遷や風潮とともに、掛け物などの、道具の取り合わせと、花に合わせて、花入を選んで使うようになるのですよ。
 そして、やはり花にも格があり、それに相応しい花入を用いる、また、その逆もあるわけですが、茶事の趣旨に相応しい花、ということを心掛けたいですね。
 とはいっても、実際には皆さんが所有している花入の種類は、自身で承知しているわけですから、茶席によって選ばれる花入も必然的に決まってきます。 と同時に、やはり季節がありますから、ほとんどの場合、すでに花は自ずと決まっているといってもいいほどです。

−−なるほど、そうなんですね。 では、具体的にはどのような花の格が高いのですか? 街の花屋さんなどでは手に入らないような、高嶺の花・・・? なのでしょうか。

安藤●つまり、品のある花、と考えればよいのでは、と思いますね。
 たとえばこの時季ですと木槿(むくげ)、芙蓉、10月になると吹上げ菊・・・。

−−では、それらの花を活ける花入は、当然・・・、格の高いものということになるのですね。 どんな種類の花入が、それらの花と相性がよいものとして挙げられるのでしょうか。

安藤●格からすれば、古銅などが、すべての時季で適していますが、季節によって、趣向、花により、取り合わせられます。 あえて、やきものの花入だけに限っての話をしますと、まず青磁が挙げられますね。
 吹上げ菊は、名残の時季、唯一、古銅に似合う花といえます。
(構成・編集部)




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