2/3ページ


●異色なアーティスト

 岡本総長は、それらの表現手法を自家薬籠中のものとしつつさらに磨きをかけていき、必然的に陶芸アーティストとしての活動も活発になります。 とはいえ、師と仰ぐ谷本光生先生(後出)のアーティスト魂に感化されていることも手伝って、いわゆる陶芸界とは一線を画します。 つまり師と同様、信念として陶芸の公募展には一切出品せず、陶芸家としての実用的な器作りも行いません。 制作は自らとの闘いであると位置づけ、土だから可能となる自由なフォルムを求め、可塑性(粘性)の限界を極めるべく新たな作品の創造に、陶芸アーティストと銘打った人生の総てを賭けているのです。




        

●ルイ・ヴィトンとのコラボレーション

「茶碗 銘・柊」(上)と椿をモチーフにした金銀彩の「盒子」(右)。 革の特製箱はヴィトンの作。




「国際花と緑の博覧会」に特別出品

「EXPO'90国際花と緑の博覧会」の政府苑(文部省後援)に作品(左)を特別出品。
舞台上、書道家と華道家のパフォーマンスが行われ、総長の作品に花が活けられました。



伊賀市三田の谷本邸応接間にて談笑する光生先生(右)と岡本総長。

右●谷本光生「伊賀耳付花入」

アーティスト・谷本光生師への傾倒

岡本総長をして「陶芸の師以上に、アーティストとしての生き様の師」といわしめる谷本光生先生。




作陶の契機となった加守田章二展


色褪せた当時の「加守田章二展」
(1978年)パンフレット。

陶芸は自己表現でいいと背中を押したのが、たまたま見た加守田章二の作でした。




同展は東京芸術劇場(1992年)、西武百貨店・池袋LOFTフォーラム(上・左の写真/1994年)などで開催。

「アーテックス東京展」での芸術交流

岡本太郎、横尾忠則、今井俊満ら現代美術家たちと一堂に。(左が総長の作品)





My Treasure
      
ルイ・ヴィトン社長(右)と
(新宿・ヒルトンホテルにて)。
下・上はコラボ作品。
「陶」と「皮」が奏でるシンフォニー
ブランドの雄、ルイ・ヴィトンとともに
岡本総長は、本物志向の最も信頼の高いものとして、皮に興味を持ち、あらゆる用途の皮製品を収集しています。
大切な自作を、皮の中に納めておきたいという思いも当然のことで、あのルイ・ヴィトンとの共作が実現し、宿願が達せられます。
吸い付くようにしっとりとした質感のヴィトン社の特製皮箱に、作品は静かに眠っています。


My Principle
レオナルド・ダ・ヴィンチの「創造の12章」
  上右●ダ・ヴィンチの作った飛行装置(精度の高い縮尺模型)
  上左●花を活けた岡本総長の作品。(伊賀市「穏里庵」にて)


本質を捉えた言葉に共感

イタリアのルネッサンス期を代表する芸術家にして科学者でもあるダ・ヴィンチは、天才の誉れが高い万能の人。 そんな偉人が「創造の12章」という箴言を残しており、なかでも岡本総長はとくに「美と心」に言及されたものに強い共感を持っています。 2章「美しいものをたたえよう」、6章「ものをつくることを楽しみとしよう」、7章「よいものに敬意をささげよう」など。 創作への畏敬と暖かな視線が伝わってきます。





1ページ | 2ページ | 3ページ
tougeizanmai.com / バックナンバー