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小代焼の巻 (しょうだい) 

 小代焼は熊本県の小岱山麓で焼かれてきたやきものです。 そのため小岱焼とも書きます。
 起源は約400年前のこと。 小倉城主だった細川忠利の肥後移封(1632)に伴って、豊前上野の陶工二人が小岱山麓に移り住んだといわれます。 また一説では、文禄・慶長の役に際し加藤清正が朝鮮から招いた陶工が築窯したのが発祥とも・・・・・。 ともかく小岱山は古墳〜平安時代に数多くの須恵器の窯があったという場所。 いかに良質な原土が採れたかが分かります。 今回は、この小代粘土にズーム・アップ!
 鉄分や小石を多く含んだこの原土は、焼くとザラッとした肌合いと丈夫な器胎を生みます。 別名「五徳焼」と呼ばれるのは、腐敗しない、生臭さが移らない、湿気を呼ばない、毒を消す、延命長寿が得られるからとか。 そこに藁灰、笹灰釉などによる力強い「打ち掛け流し」の装飾が加わります。 この、一見自由奔放なまでの素朴さこそ、小代焼の醍醐味です。
現在も荒尾市を中心に12の窯元が窯煙を守ります。 伝統的工芸品でもある小代焼、ぜひ一度、訪問を!
築城400年を迎えた熊本城の威容。

小代焼を特徴づける「打ち掛け流し」の釉装飾。熟練の陶工による技でも、一つと同じ模様はない。

写真協力:熊本県観光物産総室



 
線描きと彫りで表現された枝葉の模様を、3種類の釉薬を駆使して情感豊かに仕上げた今回の作。まさに「夢は枯野を駆け巡る」ような、秀作です。 
56 黄伊羅保釉+黒マット釉+4号トルコ青釉

 足付台と蓋がついた存在感ある本作。 照明具ですが、剣山を使って花入として、また香炉にも使える一器多様の作品です。
 さて作業では、素地は赤土を使用。 まず全体に黄伊羅保を2回ほど吹き掛けします。 写真では茶色に発色していますが、さらに2回重ねた部分が、濃い茶の条痕の景色を作っています。
 次に10円玉大の穴を空けたマスキング用の新聞紙を用意。 作品から1〜2センチ浮かせて持ち、黒くしたい部分にだけ黒マットを2、3回吹きます。 ここで周囲に散ると全体が黒っぽくなるので要注意。 黒マットは、あくまでアクセントとして効果的に使うのがポイントです。
 同様にマスキングを移動しながらトルコ青を吹きます。 2回程で薄黄に、さらに吹き重ねると青みがかった美しい発色に!
 全体の釉の構図はもちろん、黒マットにトルコ青を一吹きし変化を出す小技など、さすがベテランらしい秀逸な釉使いです。
作品:福永千草
    高 17.0
    径 16.0×11.0cm


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