インターネット版 No.83 | 全4ページ 1 | 2 | 3 | 4 |
1 | ・特別企画 アール・デコの魅力に惹かれて ・・・ 岡本立世が求める美の世界 @ |
2 | ・特別企画 アール・デコの魅力に惹かれて ・・・ 岡本立世が求める美の世界 A |
3 | ・特別企画 アール・デコの魅力に惹かれて ・・・ 岡本立世が求める美の世界 B |
4 | ・ZOOM--UP 23 ・・・ 小代焼の巻 ・使ってみたい!!釉薬 56 ・・・ 黄伊羅保釉+黒マット釉+4号トルコ青釉 |
|
||
岡本立世が求める美の世界 | ||
Risse&アール・ヌーヴォー | ||
デザイナー気質を貫く美意識 | ||
岡本総長の作品や収蔵品が並ぶ展示室(新宿区・東苑ビル5階)。展示台やテーブルなども総長自らのデザインです。左奥のランプは、アール・ヌーヴォー期を象徴する作家・ドーム兄弟の作。右端の作品は「アーテックス東京’92」出品作、中央右の大作は「同’94」出品作で、いずれも「アール・ヌーヴォー・シリーズ」の代表作です。 | 今号では、陶芸の指導者としてではなく、これまであまり知られていない岡本立世総長の、創作家としての実像を初特集し、紹介したいと思います。 |
●アール・デコとの融合 |
「アール・デコの装飾文様」 (セギー、トーマ他著/学研 /1980年)は座右の書。 |
岡本立世総長は、アール・デコのデザイナーたちに同じ作家として通じ合い、なかでも、セギーやダルシーらに殊更強く敬愛を寄せています。 |
●アール・デコとヌーヴォー |
岡本立世総長が創出した「アール・ヌーヴォー・シリーズ」の作品群は、複雑な曲線・曲面を多用した造形美と、それらの形に合致した植物などをモチーフにした有機的な文様表現がなされ、他に比類なき美しさを放つ独創的なシリーズ作としてよく知られています。 アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)とは、新しい美術を意味し、19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパでおこった美術様式です。 主題を主に植物的な形態に借り、曲線・曲面を用いて装飾的に表現する点にその特徴があります。 またその後に、1920年代のフランス・パリを中心にした西欧で栄えた装飾美術の様式が、アール・デコ(Art Deco フランス語のアール・デコラティーフ<装飾美術>の略)です。 それら「アール・ヌーヴォー・シリーズ」の作品を鑑賞しながら、岡本総長のアーティストとしての信条を探るとしたならば、アール・デコの精神に内包する芸術的パッションに依拠して、自由に、そして革新的な精神のもとで表現したいと願い、他方アール・ヌーヴォーには、作品作りにおける造形性や装飾性のコアを発見し、求めるのだという深遠な意味さえ潜んでいるように感じられます。 この境地に総長が到達するのは、陶芸の基礎を身につけ研究しはじめてから、わずか4、5年後のことでした。 |
|
近年のアール・ヌーヴォー・シリーズ
|
曲面を活かした造形と、植物をモチーフに用いた装飾とが 見事に一体化した作品です。 |