インターネット版 No.75 全3ページ 1 | 2| 3

1 ・茶とやきもの 49 ・・・ 「最も古い花入は中国からやってきた青磁」
2 ・使ってみたい!!釉薬 53 ・・・ A 織部+黄伊羅保+チタンマット+透明釉
・使ってみたい釉薬 53 ・・・  B 黒マット+黄伊羅保+飴+志野釉
・目にも旨い!男の簡単Cooking 43 ・・・ ローストガーリックのホットサラダ
3 ・「陶芸ブティック」 ・・・ GO Design C


1/3ページ

−−前号は、床の間の季節感について教えていただきました。 時代に応じて茶の湯も少しずつ変化してきた、ということがよく判りました。
 ところで他の道具同様、花入も中国から入ってきたものが、茶の湯で使われるようになったのですか?

安藤●やはり唐物が原点です。 なかでも、やきものの花入としては、中国からやって来た青磁が、歴史的に最も古いものといえるでしょう。
 また、それらを見ても判るように、胡銅の祭器の形に似ていることから、もともとは、その姿や寸法を写したものと考えられています。
 青磁花入のうちでも、雨過天晴と称される砧青磁がとくに美しく、それから時代が下がるにつれて、やや濃い黄緑色の天竜寺青磁、そして灰青色を呈する七官青磁へと移っていきます。
 中国でも技術が低下して、砧青磁のような澄んだ緑色が出せなくなったのでしょう。

−−まさに「陶は政なり」ですね。 時代によって、作るものがまったく変わってしまう・・・・。

安藤●青磁についてもう少しお話しましょう。
 江戸時代の儒学者・伊藤東涯が著した『馬蝗絆茶甌記』によると、将軍・足利義政が龍泉寺窯の青磁茶碗を所持していた際に、ヒビ割れができたそうです。 それで代わりのものをと中国に求めたところ、もはや明時代にあって同質の青磁は作れず、なんと鉄の鎹(かすがい)でヒビ割れを止めて送り返してきたそうです。 そして鎹を蝗に見立てて「馬蝗絆(ばこうはん)」と名付けられ、これが日本に伝わった青磁茶碗を代表する名品(重文)のひとつですよ。
 そして青磁の色が劣っても、茶の湯も侘び茶が主流となったのと相まって、日本の茶人の美意識観も変わり、道具として取りあげたのです。

−−ここでもやはり、その時代の茶人の鋭い眼力が、いかんなく発揮されているのですね。

安藤●実は朝鮮にも雲鶴青磁などの青磁があって、なかには花入として寸法のよさそうなものもあり、茶の湯に用いられるものもありますが、むしろ鑑賞陶器として広く親しまれているそうです。            
(構成・編集部)



1ページ | 2ページ | 3ページ
tougeizanmai.com / バックナンバー