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「Ar陶ニュース」50号記念特集
「陶房 九炉土」
30years Memorial Album
*氏名のあとの( )内数字は、作陶キャリアです。

〈Part2・・・A〉


生き続く指導ポリシー         

 では、実際に同クラブで作陶を楽しむ会員の皆さんは、日頃どう感じながら取り組んでいるか、また、陶芸と自身との関係性をどうとらえているのかを、インタヴューし検証してみました。 すると異口同音ではありますが、要約すると以下のような意見や感想が聞こえてきました。
 ・・・・しっかり教えてもらえる、丁寧に教えて下さる、技術に幅ができる、能力を伸ばしてくれる、好き勝手作れる、自由にやれる、束縛されない、自分のイメージをはずせる、教室の雰囲気が好き、 仲間の人間性がいい、様々な人から刺激を受ける、いい出会いがある・・・・などです。
 つまり、創設当初に岡本総長が掲げた「楽しく、自由に、個性を伸ばせる場」というポリシーが、しっかりと会員の皆さんの内面に波及し、実質として生き続けてきたのだといえます。
 今回の特集取材に協力頂いた皆さんは、作陶のキャリアはもちろん、性別、年齢も様々です。 しかし陶芸という共通項によって結ばれ、和やかな雰囲気のなか、ひとつとして同じものを作らず、 自己に忠実に自由に制作していました。
 また同クラブには、30年を筆頭に、趣味としての陶芸を息長く続ける方が多く在籍しているのも特徴です。 そのことと、個人の資質や感性を認め、固有の能力を伸ばして導こうとする基本方針とは、 決して無関係ではないはずだと痛感しました。
 岡本総長はじめ、講師の先生方の細心の配慮はもちろん、会員の皆さんの情熱、場という空間などが一体化し、「九炉土陶芸クラブ」が健全に発展しているのを強く実感しました。 ■


なんともいえない不思議さに惹かれて
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長田恵子さん (約10年)

陶芸には、こうしようと思って作るより、自然にできた形の方がいいと思えるような魅力があるのでは、と長田さんは思います。「ある程度、『なるようになれ!!』っていうところが、面白さの真髄のような気がしていますね」

手際よい鉢のロクロ成形。 最近、予測不能な釉の面白さにハマってます。




いよいよ茶碗の高台削りへ。 ぐっと気合いが入りました!
目標は、朝鮮の井戸茶碗
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吉田知司さん (15年)

吉田さんはこれまで、ひたすら茶碗を作り続けてきました。 形は単純でも、茶碗には作り手の魅力や個性が存在すると考えるからです。 「土を捏ねたり、練ったりしていると別世界に入っていける。 それに、土に触れるだけで気分もよくなりますよ」


買った器が少しずつ減っていく面白さ
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福永千草さん (約10年)        
食卓に上る自作の器が、だんだん増えてくるのが楽しみのひとつという福永さん。 「そうして日頃使う器が次の制作のヒントになって、また作品のアイディアが浮かんでは制作欲が湧いてくることの繰り返し」。 家族も新作を気に掛け、評判も上々だそうです。


贈り物にしようと思っている花器への釉掛け。
  3種類を重ね掛けします。


夫は、割と厳しい批評家です
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中尾宏子さん (8年)        
「月」型ランプシェードの削り。
  すでに「雪」と「花」のは完成しました。
「土に触れていると、癒される気がします。 それに集中している時は無になれる」といいます。 もっとも、制作は調子がのる時とそうではないこともあって、そんな時は、作陶仲間と一緒に食事をしたりする気分転換も、大きな魅力になっているようです。


最初は小学生の工作でした・・・・
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中原達也さん (6年)          

5年の経験を過ぎた頃から、技術が安定してきた気がするという中原さん。 「やっと思うような形に、とくに細部の仕上げができるようになりました」。 最近は、釉の熔け具合に興味があり、その感触や雰囲気の出た作品を焼くのが楽しみだそうです。
「10人くらいのお客が来ると、揃いではないけれど全部自作の器で振る舞います。 色々な味わいがあっていいですよ」


仲間と一緒に作り、過ごす楽しさ
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日比野喜代子さん (7年)

日比野さんは、器の用途性にこだわらない作陶を楽しんでいます。 自作を使うことはほとんどなく、もっぱら装飾としての飾り皿や鑑賞用の大壺を作っています。 「作っても焼き上がるまで結果は分からず、ワクワクする待ち時間と期待感が魅力です」
掻落しするために、皿にたっぷりと化粧泥を塗っていきます。



国宝や重文を使う気分を味わう
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山端直子さん (約10年)
「自分の好きな形、例えば、重要文化財に指定されている名品に似た形でも、写真を見ながら真似して作ることができて、 しかも、使うこともできてしまう」のが面白いと山端さんはいいます。 そういう時に、自らの手で作る喜びを感じるそうです。
花器作りがお得意の山端さん。
手捻りによる砧形花器の成形です。


使い勝手がよくなる自作の魅力
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竹中美利さん (約10年)

いつもは大体、思いつきで作るという竹中さん。 「すると、制作中に次々と作品の着想やアイディアが湧いてきて、 手がそれに追いつかずイライラすることもしばしばです(笑)」。 とはいえ少しずつでも、自分の形ができてくる喜びは大きいといいます。
「この灰皿は知り合いにプレゼントします」。 喜んで使ってくれるのが、見ていて嬉しい。



来客にも器の評判はすこぶる良好
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原 恵美子さん (17年)

器ばかりでなく、独自の成果として「陶人形」を100体以上も作ってきた原さんは、「陶芸には流派がなく、それぞれ自由で、様式のないのがいいのでは」と感じています。 器なら和洋どちらにも使えるものも作れ、そんなところに陶芸の魅力があるといいます。
イッチン描による線文様を描いていきます。モダンな角皿になりそう。



少し重くとも家族の評判は上々!
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石井静子さん (12年)
「土で作ることには、必ず形になっていく面白みがあり、それに焼き上がれば作品がしっかりとした形になって、世の中に残るのも独特の楽しみ」と感じています。 自作を使うのは、実は重くてやや抵抗もあるけれど、大皿などは存在感があっていいと思うとも。
鍋料理の際に使う取り皿を、丁寧に削って仕上げていきます。


日常の延長に陶芸のある生活が理想
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田中光雄さん (10年)

素地に切り絵を張って、化粧泥を掛ける手法を得意としています。 「自分の制作前のイメージと、実際の距離が狭まった時の喜びが最高ですね。 イメージに近づけた時、陶芸は面白いと思います」。 これからも可能な限り、作陶を続けていきたいと意欲的です。
 
「ロクロをやっているとスーッと土の伸び上がる瞬間があって感動的」という田中さん。


どんな作にも愛着を感じます
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西村美千代さん (6年)

夢は、家のなかのものを全部自作にすること。 器はもちろん、花入や陶製の表札なども。 「陶芸はいつも自分のイメージを裏切る。 でも面白いと思うのは、やっていること自体に魅力があるから」


丁寧に進められる片口鉢の成形。


私自身、とても楽しくやってます
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菰池眞佐子さん (3年)

「無から有が生じるのが魅力。 作るプロセスに興味があって、面白いですね」。 釉の組み合わせなどの意外性にも、なんともいえない興味を感じるそうです。 「もう、のめり込んでしまいそうよ!」
「何点かは満足なのありますよ(笑)」


オブジェを突き詰めて作る面白さ
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片山百合子さん (6年)

器作りでなく、表現手段として陶芸を選んだ片山さん。 「なぜなら、作ったものを使っていると、私の場合苦しくなるから。 意識としてはオブジェを作ってます」。 突き詰められる面白さが魅力です。


パーツを組んで作るランプシェード。


どんなのが焼けるかいつも楽しみ
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大久保尚代さん (5年)
「今やらなければできないと思ってはじめて、一気に病みつきに。 これでいいというものがなく、魅力にハマった感じ」。 凝り性で、四角四面な性格という大久保さんなりの陶芸を追求したいそうです。





再挑戦中のサラダボウル作り。



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