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第4回 「たち吉陶芸倶楽部」(東京校)作陶展
回を重ねるごとに、作品に円熟の味わいが加わってきました。今年度の受賞作の発表です!  


器に対する見識と感性

 先頃、九炉土千駄ヶ谷校において開設されている、「たち吉陶芸倶楽部」東京特別講座の作品発表展が、京都の「たち吉」本店にて晴れやかに開催(2月2日〜7日)され盛況でした。
 この講座は、たち吉陶芸倶楽部の東京校として、千駄ヶ谷校内で授業が行われてきました。 もちろん本講座での基本テーマは、「たち吉の器に学び、作る」ですから、東京にいながらにして京の雅が学べると、作陶家に根強い人気があります。
 また、そんな独創的な授業のため、ここで学ぶ生徒の皆さんの器に対する見識やセンスの良さなどの水準はやはり高く、この作陶展への出品作を見渡せば、それはすぐに得心できます。
 今展への出品作は、一年を通して作陶を重ねてきた成果としての、それぞれの自信作や、あるいはお気に入りの作品のなかから、作者各自により2点が選び出されたものです。 そのうえで、全出品作を対象にして審査(岡本立世東京校審査委員長)が行われ、ことに優れた作品に対して、「たち吉賞」や「岡本立世賞」などの各賞が決められていきました。


たち吉賞
守屋節子さん

「備前板皿」

 
岡本立世賞
高木昭峯さん

「備前肩衝舟徳利」

 
技術賞
毛塚厚子さん

「飴釉角皿」



強い印象を放つ受賞作 

 なかでも、本年度の「たち吉賞」は、雰囲気たっぷりな縁作りが施された守屋節子さんの板皿で、胡麻とぼた餅のコントラストが叙情的な感性を盛り上げている逸品です。 「全体に丁寧な仕上げがなされていて、しかも、すっと入れられた緋襷の模様がポイントにもなっており、強く印象に残りますね」と、岡本総長が講評して下さいました。 「岡本立世賞」に選ばれた高木昭峯さんの作も偶然、備前でした。 造形的には肩の張りに特徴のある、個性的な舟徳利です。 肩口から胴にかけての景色の変化が、作品全体を引き締めているように感じられ、硬軟併せ持った不思議な魅力ある作品です。
 堂々とした飴釉の角皿は、「技術賞」に選ばれた毛塚厚子さんの作。 細部まで丹念に作り込まれ、彫りによる力強い模様と、釉の階調の効果が巧みな組合わせです。 この作品全体のバランスのよさが、技術力の高さを物語っていると感じました。
 また「努力賞」は、多くの出品作中、意匠の独創性や釉掛けなどに特徴のある籠波恵美子さん、林美津枝さん、武智容子さんの作が栄誉を受けました。 ■


努力賞

籠波恵美子さん
林美津枝さん
武智容子さん



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