焼け焦げたような赤みが「野趣」を感じさせます。 だけど、どこかやわらかな風合いもして、不思議な魅力の今回の作。
これは、薄手にひいたロクロ目の美しさや、ゆったりした形のせいばかりではありません。 ベースにチタンマット釉、景色として黄伊羅保釉という、いずれも失透性の釉薬を効果的に用いることで生まれたものでした。
施釉は、まず通常濃度のチタンマット釉を全体に浸し掛けします。 均等に掛けることを意識してください。 次に黄伊羅保を吹き掛けするのですが、ここはあくまで赤く焦げた景色として表現したいので、ほんの少し。 通常の吹き掛けを5とすると、1〜2程度に抑えます。 なぜなら伊羅保釉は流れやすいため、多く掛かると条痕が出てしまいます。 作例のような景色をねらうなら、軽く、軽く、がポイントです。
景色として使われることの多い伊羅保釉。 シンプルさの中に釉使いの妙を、再発見しました! |
作品:中村三佳 高8.0 径9.0cm
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