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《 第9回 「九炉土干支コンテスト」特集 ・・・P1の続き 》



「酉照明〈希望〉」
(形)

筒井童太さん 埼玉県
「酉香台」
(彫刻)

有賀正訓さん 大阪府
「四季の花鳥」
(絵付)

佐古智子さん 東京都
「赤白」
(形)

竹中美利さん 東京都
「とり皿」
(文字)

竪山 明さん 福岡県
「つり花入れ&ハガキ入れ」
(絵付)

小南俊夫さん 岐阜県
「陶額」
(絵付)

小南俊夫さん 岐阜県



「鎮座」
(形)

藤松洋光さん 千葉県
「酉 ちゃぼ」
(彫刻)

青野武基さん 愛媛県
「幸福を運ぶ鳥
"フェニックス"不死鳥」
(彫刻)

下農由紀子さん 大阪府
「お茶をどうぞ」
(形)

伏石廣義さん 香川県
「The Crow & ザクロ   
    On The Pavement」
(彫刻)

滝 亮さん 富山県
「白波五人男 赤星十三郎」
(絵付)

村松美紀さん 神奈川県
「絵皿」
(絵付)

佐藤美恵子さん 東京都



「エッグクロック」
(形)

石谷志帆さん 神奈川県
「黙」
(形)

塩田喜彦さん 大阪府
「すえながく、コケコッコー
          (尾長鳥)」
(彫刻)

 山本 昇さん 長崎県
「酉 とり しゃも」
(彫刻)

青野武基さん 愛媛県
「猿芝居」
(彫刻)

保田土夫さん 大阪府
「ねてていいよ」
(彫刻)

塩田喜彦さん 大阪府



独創的なアイディア必要
 ではここからは、今年度の出品作の特徴や傾向などを、少し詳しく見ていきましょう。
 今回、人気投票の結果、最も多く集票したのは、部門大賞(今年度最高賞)で絵付大賞を見事に受賞した田中光雄さん(千葉県)の作でした。 とはいっても、70票余りしか集まっていませんから、いかに票がバラけてしまったかがよくわかります。 しかし、この得票結果が審査に加味されて、部門大賞受賞に寄与したのは明白です。
 ちなみに、例年の実績からすると、有効人気投票の一割程度(今年度に換算すると、およそ130票余)を集めて来られる実力作でなければ、グランプリ級の受賞には及んでいません。
 また、70票から30票を得た作品が、今年は実に20点ほどあることから、中間レベルといえる層を形成しています。 つまり、傑出した作品や印象深く記憶に残るものがなく、票を分け合ってしまいました。
 では次に、着想やアイディアという視点から出品作を見ると、どうでしょうか。
 どんな種の鳥を題材にしてもよいという応募規定にもかかわらず、モチーフとなったのは圧倒的に鶏(ニワトリ)であり、この点においても、どの作品も似かよった印象に重なって見えてしまったかも知れません。
 もちろん、鵜やカモメ、フクロウ、ツルやカラスなども散見されますが、明らかに鶏に偏りました。 さらに、鶏の持つ一般的なイメージを直截に造形や絵付に取り込むという発想・構成にも、やや偏重が認められます。
 可愛らしく親しみのある鶏(鳥)ですが、すばしっこく獰猛な一面もあり、また造形的には、一部分をデフォルメした大胆な、象徴としての形を狙った作品があったら、人気投票の動向も違っていたはずです。
 それから、ここに作品掲載された一部受賞者の経歴からもわかるように、本展はプロからもアマチュア作陶家からも出品を受付け、公平に審査されています。 プロ作家は得意技術を活かした深い表現の作品、アマ作陶家はプロにはできない自由な発想の作品が、きっちりと評価されています。
 どちらの立場にもハンディはなく、双方のメリットを活かし、思い切った作品作りをすることがやはり肝要のようです。


上下ともに一般の観客による人気投票は、受賞の行方を占う試金石です。 瞬間的な衝撃と、記憶に残る印象強さが必要です。 (新宿・朝日生命ギャラリーの干支コンテスト会場にて)

 さて、来年度のテーマ・戌(犬)に向けて、どのように制作を進めたらよいか、岡本総長にアドバイスをいただきました。
 「飼い犬をそのまま作品にしても、ちょっと弱いのではないですか。 やはり、単純な犬の置物では、なかなか賞候補には残りにくいでしょうね。 とても身近な動物なだけに、アイディアを凝らしたひと捻りが必要です。 芸術性が求められていることを、作る前によく考えて下さい」



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