では次に、着想やアイディアという視点から出品作を見ると、どうでしょうか。
どんな種の鳥を題材にしてもよいという応募規定にもかかわらず、モチーフとなったのは圧倒的に鶏(ニワトリ)であり、この点においても、どの作品も似かよった印象に重なって見えてしまったかも知れません。
もちろん、鵜やカモメ、フクロウ、ツルやカラスなども散見されますが、明らかに鶏に偏りました。 さらに、鶏の持つ一般的なイメージを直截に造形や絵付に取り込むという発想・構成にも、やや偏重が認められます。
可愛らしく親しみのある鶏(鳥)ですが、すばしっこく獰猛な一面もあり、また造形的には、一部分をデフォルメした大胆な、象徴としての形を狙った作品があったら、人気投票の動向も違っていたはずです。
それから、ここに作品掲載された一部受賞者の経歴からもわかるように、本展はプロからもアマチュア作陶家からも出品を受付け、公平に審査されています。
プロ作家は得意技術を活かした深い表現の作品、アマ作陶家はプロにはできない自由な発想の作品が、きっちりと評価されています。
どちらの立場にもハンディはなく、双方のメリットを活かし、思い切った作品作りをすることがやはり肝要のようです。
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上下ともに一般の観客による人気投票は、受賞の行方を占う試金石です。 瞬間的な衝撃と、記憶に残る印象強さが必要です。 (新宿・朝日生命ギャラリーの干支コンテスト会場にて)
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