インターネット版 No.53 全3ページ 1 | 2| 3|

1 ・茶とやきもの 40 ・・・ 遠州流・安藤宗良先生にインタヴュー「水指らしい風格と格調」
2 ・使ってみたい!!釉薬 43 ・・・ チタンマット釉+化粧泥
3 ・器で愉しむお茶時間 27 ・・・ コーヒーカップ&ソーサー

1/3ページ



−−前号では、陶製の水指は、当初、見立てから用いられたというお話をお聞きしました。
 そこで、実際にはどんな水指があるのかを教えていただく前に、まず水指の基本的な役割や、求められる資質を知っておきたいのですが・・・・。


 安藤●やはり茶室での主役はとなれば、残念ながら水指ではなく茶入や茶碗になります。 なかでも茶碗は、直接口に触れるという特殊性もあって、とくに親しみが持たれているようですね。 ですから一般的には、茶碗の愛好家の数は多いでしょ。 また茶入は、茶碗に較べれば接する機会は少ないかも知れませんが、茶を入れておくための器ですから、格が上の道具だといえます。
 そうすると必然的に、水指は脇にまわる役回りになりますね。

−−順をおって考えていけば、至極当然・・・・ですね。
 では、そのような水指に求められる資質とは、どんなものなのでしょうか?


 安藤●やはり水指のなかにも格があって、濃茶と薄茶で使われるものが選別されて用いられています。 どちらかといえば、地味で大人しいものの方が濃茶では貫禄があります。
 つまり、水指には水指としての風格と格調が必要だということです。
 ひとことでいえば、水指は地味なものがよく、あまり個性的でなく、自己主張し過ぎない方がよいということです。
 もう少し具体的に挙げると、南蛮、瀬戸(渋釉)、備前、伊賀、信楽などが、水指として古くから茶人たちに喜ばれてきました。

−−なるほど。茶入や茶碗という主役を喰ってしまうようでは具合が悪い・・・・ですね。

 安藤●水指はいわば、背景のような存在でありながら、しかし同時に、主役たちの引き立て役でもあるわけです。
 とはいっても、水を入れておくための器という、本来の役はきちんとこなさなければなりません。    
 それから、いわゆる南蛮や備前などは無釉、または自然釉焼締めですから、素地は空気を通しやすいのです。 そのため昔から、中身の水が腐りにくいなどといわれてきました。 つまり、利にかない用を足しているから、水指に向いているのですよ。 
(構成・編集部)



1ページ | 2ページ | 3ページ
tougeizanmai.com / バックナンバー