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(26)  フリーカップ
食器の中でも、マグカップや湯飲みは個人に属するプライベートな器です。一生のうち、いくつ位の愛用品と出合えるのでしょう。
マイカップを使い分けるのも器の大きな愉しみです。 

 誰でも一つは持っていそうなマグカップ。 自分専用の器だからお気に入りを選びます。 でもいったんマイカップと決めると、コーヒーだろうがスープだろうが何でもござれのマグひと筋になりがち。 それは確かに便利だけど、少し味気なくもあります。
 そんな時、コレクター急増中のマグがある! と聞きました。 1940〜70年代のアメリカの量産品で、そのヴァリエーションの豊かさがマニアをくすぐるとか。 『ファイヤーキング マグ図鑑』(河出書房新社)なる本も発見。 コーヒー通の著者は時々の気分でマグを選ぶそうです。
 確かにマイカップは、愛着の一点主義もいいけれど、コレクションを使い分けるのも楽しそうです。 たとえば今回の、瑠璃釉が清々しい和田千賀子さんのカップには、朝の目覚めに渋いコーヒーが似合いそう。 紅柄の線が柔らかな西村美千代さんのカップなら、ゆったりした夜に、ホットショコラなんかを飲みたくなるのです。
 自分と器のいい関係、そうして一つずつ増やしてみませんか。

作品:和田千賀子(左)
    フリーカップ  高6.5 径11.5cm
    
    西村美千代
    フリーカップ  高6.0 径12.0cm






「作陶集 加守田章二」
益子陶芸美術館 編集

 




 栃木県・益子を拠点に活躍した、伝説の陶芸家・加守田章二(1933−1983)の作品集が刊行されました。
 本書は、当サイト「tougeizanmai.comのAr陶NEWS No.4」でも紹介した益子陶芸美術館での、三期に分けて展示された展覧会出品作を、そのまま一冊にまとめたものです。 そのため図版ページの構成などは、同展の3回の展覧会図録とまったく同様です。
 しかし改めて、合本された本書を巻頭から最終ページまで一気に通して眺めると、加守田作品に対する静かな感動が、思い新たに迫り上がってくるように感じられます。 掲載(出品)作の選択の巧みさはもちろん、資料などの編纂の丁寧さにも好感が持てる良著です。
 本書に関わった編者らの、加守田章二への暖かい眼差しにも思いが至る一冊です。

(問)印象社
TEL. 03-3561-0861
http://inshosha@inshosha.com





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