《 第8回 「九炉土干支コンテスト」特集 ・・・P2の続き 》 |
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●表現方法と総合力
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さてここで、今年度の応募作全体の特徴や、出品傾向の概要をおさらいしておきましょう。 やはり当初から予想されたように、見猿・聞か猿・言わ猿の「三猿」と、そこに端を発して派生させたアイディア作が数多く見受けられました。 ただし、着想は「三猿」からであっても、表現方法に長けていて、かつ優れた作品と判断されたものは、きっちり入賞の栄誉に浴しています。 結局、技術力や作品としてのまとめ方など、総合力が厳しくチェックされたようです。 また、昨年度まで多く見られた「組み作品」は、今回はやや影を潜めたように感じられました。 やはりどちらかといえば、干支の特徴をすっきりとひとつに集積させた作品に存在感があり、一票を投じる一般鑑賞者にも、審査員に対しても訴求力があるようでした。 では、応募部門という観点から眺めてみると、これは例年と同様の傾向ですが、彫刻部門に最も多くの出品がありました。 比較的技術レベルは高く、丁寧に作り込まれた作品が多かったようです。 彫刻部門への応募で、上位入賞に結びつかなかった作は、オリジナリティーの弱さや、表現力が今ひとつ整理できていない作品のようでした。 彫刻部門への出品作は、平均レベルが上がっていると思えます。 次いで応募の多い形部門、さらに文字部門においては、今回展で各々の部門で大賞を受賞した作品「モンキー・ブラザーズ(猿型小鉢)」と「染付絵文字さる★竅vが、幸い各部門の規範となるほどの秀作でした。 従って、迷いのあった出品者にとっては、制作の方向性が定まり、分かりやすくなったのではと思いました。 来年度以降、興味深いアイディア作が出てくる期待が、大いに持てそうです。 絵付部門で大賞を獲った「山猿のいる風景」も、皿のなかに精悍で、リアルな猿の絵を素直に溶け込ませて成功し、模範的な作品に仕上がっていました。 ただ、上位にノミネートされていながら入賞に結びつかなかった作品のなかには、やきもの(陶)以外の素材で、主題の装飾が施されたものが散見されました。 当然ながら、陶芸作品に限ってのコンペのため、異素材の使用があったり、疑われたりすると大きな減点になります。 反対に、陶にのみ固有の釉薬、焼くことによって生じる必然的な状況など、やきものの特徴が効果的に取り入れられた作品ならば、ぐっとグランプリに近くなるといえます。 |
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出品に際し、今回はもうひとつ気をつけたいことがありました。 それは、応募規定に示された大きさから、明らかに外れたサイズ・オーバーの作品が数点あったことです。 一次審査の段階で対象外とされましたから、くれぐれも注意が必要です。 来年度、「酉」で上位入賞を狙うためには、一般投票にも審査のウェイトが置かれるため、その対策が必要でしょう。 「誰が見てもすっと分かることが大切。 ひと目でなにかを理解させながら、インパクトの強い表情や動きが表現できているといいですよ」と、岡本総長がアドバイスして下さいました。 |
1次審査を経た入選作が、東京・新宿センタービル51階の朝日生命ギャラリーにて、晴れやかに披露されました。 |
来年の「干支コン」展会場には、全国から集まる「酉」たちが、きっと、賑やかに羽ばたいていることでしょう。 |