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こちらでは「たち吉賞」発表!
第一回「たち吉陶芸倶楽部」作陶展より 
九炉土千駄ヶ谷校で開講中の「たち吉陶芸倶楽部」で学んだ皆さんも、晴れやかに作品発表です。

 
たち吉賞


林 順子さん

「朝鮮唐津片口鉢」
「耳付花入」
岡本立世賞

山田和子さん

「伊賀あきしの角大皿」




「たち吉の器に学ぶ」講座
 一昨年の秋から、千駄ヶ谷校に「たち吉陶芸倶楽部」東京特別講座が設けられ、以来、充実した器作りが続けられています。
 この「たち吉陶芸倶楽部」は、京都の老舗陶器商として知られるたち吉のブランド・イメージと、九炉土の永年培ってきた陶芸指導の実績・水準とが合致して実現した講座です。
 そのため、同講座のカリキュラムはといえば、「たち吉の器に学ぶ」というテーマに沿って、特別に組まれたものです。 それは受講生全員が、品格ある器を制作できるようにプログラムされています。 もちろん、九炉土のベテラン講師による的確な技術指導や、アドバイスが受けられるのは他のクラスと同様です。
 またこの講座は、キャリアに応じて募集・クラス編成がされたものではありません。 そのため同じ教室内に、作陶体験のある方と、まったくの初心者の皆さんとが混在して在籍しながら、互いに一体となって授業を受け、器作りを学びました。
 しかしその結果、作陶技術に多少の差があるにもかかわらず、完成作を見ただけでは、それがわからないほど全体のレベルが安定していて、驚くほどでした。 つまりそのことは、教室総体の技術修得度がかなり高く、カリキュラムをしっかりと消化している証だとも思えるのです。


努力賞
木村敏子さん
「鳴海織部瓜形向付」
 
請盛房子さん
「刷毛目盛鉢」
田中章子さん
「割山椒向付」



おめでとうございます!!
 そして先頃、同講座で一年間学んだ皆さんが、ひとり2点ずつ自らの作った代表作を選び、「たち吉銀座店」で展示発表しました。
 それらの力作のなかから、栄えある「たち吉賞」に選ばれたのが、林順子さんの「耳付花入」と「朝鮮唐津片口鉢」です。 花入の首の長さや太さ、耳の付け方や口の広がりなど、トータルな均整がとれていて、しかもそれらを実現する技術レベルも高い、と評価されての受賞です。
 「岡本立世賞」を受けた山田和子さんの「伊賀あきしの角大皿」は、ヘラによる削ぎが嫌味なく、しかもその削ぎとビードロ釉が相まって、ぐっと効果を盛り上げたなかなかの秀作。
 また「努力賞」となった木村敏子さんの「鳴海織部瓜形向付」は、ベンガラの線の強さが作品全体を引き締めていて、請盛房子さん作の「刷毛目盛鉢」は、躊躇せずに描いた刷毛目の勢いのよさが魅力的です。 萩焼の「向付」で受賞した田中章子さんの作は、割山椒の一番のポイントとなる切れ込みと広がり、口の柔らかな表情のつけ方が巧く、評価されました。
 やはり、器としての実用性やまとめ方などが、入念にチェックされたようです。 これからも、大いに器作りを楽しんで下さい! ■ 


出品作は、ほかの商品と対等に互して、堂々とディスプレイされていました。
「たち吉陶芸倶楽部」作陶展の会場は、たち吉銀座店。 伝統ある陶器店なだけに、出品者は、ちょっぴり優越感も味わえました。






 (22)  コーヒーカップ&ドリッパー
人がいれてくれたコーヒーが「美味しいっ」と思ったこと、ありませんか?
もちろん喫茶店ではなく、そんな場面にある時遭遇しました。驚いて、美味しさの秘密をたずねると・・・。 

 それは初めて訪ねた知人の家でのこと。 コーヒーの美味しさに感激し、キッチンでいれ方を教えてもらうことになりました。 豆は市販品のミル挽き、方法はペーパー・ドリップ式。 でも、やっぱり少し違っていたのです。
 まず道具。 やかんは使い込んだ銅製で、注ぎ口の長い専用のもの。 そして、ドリッパーとサーバー(ポット)は、対になった焼締め陶器だったのです。 ゆっくり丁寧にいれるうち、よい香りが立ちのぼってきました。
 日頃はコーヒー・メーカーの手軽さを信奉していても、いつかはこんな風に、と思うのです。 それは一手間かかる道具を使いこなす人の心のゆとりが、とてもステキに見えたから。
 写真の作品からも、そんな豊かさが伝わってきます。 しかもドリッパーには画期的なアイディアが!

作品:簑輪悦子
    コーヒーカップ 高9.0 径9.5cm
    
    山上和子
    ドリッパー&フィルターケース
    高9.7 径11.0×9.5cm(ドリッパー)
 ツバ部分に透かしがあって下の様子が見えるのです。 これならカップに直接乗せてドリップしても、コーヒーがあふれることはありません。
 さぁ、この器たち。 どんな人のもとに幸せを運ぶのでしょう。  






志野の最大の魅力は「淡雪肌」です。釉の縮れで生じた、やわらかな釉の表情。プロも目指すこの釉調が、もう夢ではありません!
35 志野釉(九炉土特製)

 今回は、志野特有の淡雪肌がR-101のような電気窯でも効果的に出るよう調整された、オリジナル志野釉を紹介します。
 写真の蓋物はこの効果を上手に生かしています。 蓋の表面に現れた釉の縮れにご注目。 とてもダイナミックで、下絵と融合して作品の個性を演出しています。 この蓋の場合、装飾性を重視して釉を濃く掛けました。 つまり淡雪肌は、釉掛けの厚みによって調節できるのです。
 掛け方は流し掛けで。 この方法だと自然と釉が重なって部分的に厚みが生まれ、淡雪の表情が出やすくなります。 浸し掛けなら、意識的に重ね掛けの部分を作りましょう。

作品:山田幸子 高11.5 径20.0×16.0cm
 最後に、初めて志野釉を扱う時のポイントを。 初めは薄目で淡雪の調子を知り段階的に濃く、が秘訣です。 絵志野の場合、下絵は釉の縮れに負けないように弁柄でやや濃く描きましょう。
 淡雪肌のソフトな調子と簡素で大胆な絵、さて、皆さんならどんな作品に生かしますか?



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