インターネット版 No.33  全3ページ 1 | 2| 3|

1 ・第7回 「九炉土干支コンテスト」特集 <羊> (1)
2 ・第7回 「九炉土干支コンテスト」特集 <羊> (2)
3 ・第1回 「たち吉陶芸倶楽部」作陶展より
・器で愉しむお茶時間 22 ・・・ コーヒーカップ&ドリッパー
・使ってみたい!!釉薬 35 ・・・ 志野釉(九炉土特製)

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年が改まると、いよいよ恒例「干支コン」の審査結果の発表です。 自信たっぷりにこの時を待ちわびた方もいれば、ワクワクしながら過ごした出品者も、きっと多いでしょう。 さて、今年のグランプリはどんな作品でしょう?


有効投票は750票

 早くも第7回を迎えて大盛況の「九炉土干支コンテスト」。 今回のテーマは「羊」です。
 例年通り、すでに昨秋、入選作品が「九炉土展」会場に展示発表され、一般の観覧者による人気投票をすませました。 有効投票はおよそ750票ほどあり、それらの結果も慎重に考慮しながら、先頃、最終審査を終え、グランプリなど受賞作が決定しました。



おめでとうございます!!
グランプリ入賞佳作作品発表

今年度グランプリは、他を一歩リードした若きエース・田畑奈央人さん作「プードル!?」が見事獲得。 それに続く優秀作品が大賞、特別賞、オリジナル賞に各々決定です。



独創性と光る技術 

 羊といえば・・・優しく愛らしいイメージが、広く浸透しています。 そのため応募作の多くにも、ほのぼのとした雰囲気の羊が、たくさん見受けられました。 しかも、丁寧な細工を施した技巧的な作品が目立ったのも、今年度の特徴です。 そしてその象徴ともいえるのが、グランプリ受賞作でしょう。 3年の作陶キャリアながら、強豪を抑え、賞金10万円をゲットしました。
 大賞に輝いた保田土夫さんは、度々個展を開催するほどの経歴の持ち主。 また、特別賞を受けた杉原京さんは、日頃から取り組む陶人形作りの技術と、母としての実体験が作品に結実しました。



 
「プードル!?」
(彫刻部門)
田畑奈央人さん
東京都杉並区
講評一頭の羊を主題としながら、毛糸の玉、そしてプードルへと展開させ、羊でなければ成立しえない作品に仕上がっています。 また、土という素材の特質を充分に活かしつつ、ふっくらとした羊の特有な表情をリアルに捉えていて秀逸です。 さらに立体としてのバランスもよく、トータルで見てグランプリに値する着想力と技術力を満たしている優作といえます。 人気投票のポイントも高く、一般観覧者にもかなりの好感度でした。
(岡本立世総長 以下同)
「馬や猿など、ほかの干支では成り立たず、作る対象が羊という動物であることを活かしたいという思いから、このような作品になりました。 また可愛くなりすぎず、品のあるものを心がけて作りました。 制作中、羊が自重でへたってきてしまい、その点で苦労しました」

 




彫刻大賞
「考える羊」
保田土夫さん
大阪府東大阪市
講評危機的な地球の姿は焼締めを用いて作り、その周囲で考え込む羊たちは、各々豊かな表情をしています。 とくに刻々と迫り来る状況を表現する意味で、羊が活かされたといえ、大賞に匹敵するテーマと発想のユニークさがあります。 また細部までしっかりと丁寧に作られていて、まさに大賞に相応しい力作です。
「地球環境や人間社会が崩壊・破壊、また過剰や異変などと叫ばれるなか、人々は現実的な危機感を本当に感じているでしょうか。 作品を通して、一人ひとりが問題意識を持ち、大事なものはなにかと考えて頂ければと思って作りました」




「羊が1匹、羊が2匹、羊が……」
(彫刻部門)
杉原 京さん
愛知県瀬戸市
講評腕白な子供たちを寝かしつけようとする、温かな母性愛が伝わってくる秀作です。 母羊の顔の傾き具合や目の表情、手足の造作などからは、母親の優しさが滲み出ています。 さらに手を抜かず、子羊たちもしっかりと作り込んでいます。 素朴な作品ながら、とてもいい味を出していて優れています。 羊がテーマであることが大きく関与し、必然的に構築された作品といえます。
「私の子供たちが、まだ小さかった頃を思い出しながら作りました。 母羊のどっしりした感じと、なかなか寝付かない子羊の表情に苦労しました。 少し乾燥を急ぎ、ヒビが入ってしまいました。 子育ても作陶も、じっくりやらなければと思います」
 




「羊のえとびな」
(彫刻)


坂本明三郎さん 愛媛県
講評愛らしい羊を、手間暇惜しまず作っています。 人気投票で高得票だった理由でしょう。 ただ残念ながら、羊をほかの干支に置き換えても作品化できる点で、上の賞が取れませんでした。 次作に期待したいと思います。
「南風からの共祈り
(なんぷうからのとぅむいぬり)
(彫刻)


山ア真季さん 沖縄県
講評羊と沖縄のシーサーを結びつけた地元愛があります。 羊の表情とシーサーが一体感をもっていて、まとまりのよさが感じられます。 オリジナルな着想があり、しかし、それだけに終わらない技術力もうかがえる作です。
「羊の夫婦」
(彫刻)


兵後規子さん 三重県
講評土板を曲げて胴部を作りました。 また、毛を表現するための、削り込んだタッチに勢いがあり好感が持てます。 はっきりと夫婦(雌雄)の違いを作り分けられれば、上の賞が狙えました。
「瞑想」
(形)


田中光雄さん 千葉県
講評蓋付の壺自体の形と、羊のイメージを重ね合わせて作品にしました。 羊の外観をレリーフにしたアイディアや、焼締め風な色と羊の白い体色のコントラントも効果的です。
「片口 広原の羊」
(形)


保田土夫さん 大阪府
講評形部門のなかでは、人気投票で最高得票でした。 シンプルで堂々とした器に、足を削り出し、角を配し、羊の雰囲気を巧みに表現しました。 陶ならではの質感もよく活かしています。



「沈黙しないひつ爺」
(彫刻)

前田由美さん 山口県
「新しい年への衣替え」
(形)

竹中美利さん 東京都
「羊もじ」
(文字)

 佐古智子さん 東京都

 
「“ひつじ草”文大皿」
(絵付)

藤井 節さん 東京都
「羊の『王様と私』
 “Shall we ダンス?」
(彫刻)

下農由紀子さん 大阪府

 



「羊こそ!!
青玉、紅玉、黄玉」
(彫刻)
滝 亮さん 神奈川県
「歌っておどって」
(文字)

塩田喜彦さん 大阪府
「羊助がひとねむり」
(彫刻)

 冨金原塊さん 京都府

 
「羊の親子 花入」
(形)

山本 昇さん 長崎県
「犬を監視する羊達」
(彫刻)

佐藤京子さん 東京都

 


★ 敢闘賞・佳作は2ページに続きます ★



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