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《 第7回 「九炉土干支コンテスト」特集 ・・・P1の続き 》



「午後の一刻(ひととき)」
(彫刻)

日高頌子さん 福岡県
「羊香合」
(形)

小池照江さん 東京都
「世界の羊」
(彫刻)

竹中美利さん 東京都

「おやこ」
(彫刻)

野川 涼さん 東京都
「羊ツリー」
 (文字)

竹中美利さん 東京都
「ヤキシメマルヒツジ」
 (形)

筒井童太さん 埼玉県

「喜怒哀楽」
(絵付)

當間さだ子さん 千葉県
「羊のクラウド」
(形)

渡辺美佐樹さん 神奈川県
「羊花入」
(文字)

前田由美さん 山口県
 



「アーツノガオモカッタ!!
スッキリダイエット 2003年。」
(形)
斎藤洋子さん 東京都
「羊頭付象嵌瓶」
(形)

冨田良介さん 長崎県
「羊型蓋物」
(形)

真渕綾子さん 千葉県

 
「羊が1匹、羊が2匹・・・」
(形)

村松美紀さん 神奈川県
「いま何時?」
(彫刻)

村田義信さん 広島県

 

 
「羊頭狗肉」
(絵付)

竪山 明さん 福岡県
「羊頭把手ワインクーラー」
(形)

中原達也さん 東京都



保たれる審査基準
 さてここで、改めて審査基準について確認しておきましょう。 まず大切なのは、本コンテスト全体として、一定の水準が保たれることを勘案し、毎年の審査が行われる点です。 具体的にどう水準を保つかといえば、「羊(今年度の場合)でなくては成立しえないテーマに基づき、制作されているか、否か」が審査でチェックされているのです。
 つまり、たとえば猿や鳥・犬などの、ほかの十二支に置き換えても当てはめることの可能な主題でなく、羊でしか表現できない、または、羊ならではの必然性を考慮して制作された作品に対して、とくに高ポイントが与えられたということです。
 さらに、グランプリや大賞などの候補となるレベルの高い作品は、それが審査ポイントを加算する重要な根拠となります。
 もちろんそれ以外にも、着想の豊かさやオリジナリティー、デザイン性、技術的なこと、陶芸として土を活かした表現手法になっているか、なども精査されます。 そしてそれらの要件を、それぞれの作品がどの程度満たしているかという観点で、最終判断が下されているのです。


今回も会場を訪れた多くの来観者に、人気投票をお願いしました。 一票を投じる作品を選ぶ目は、まさに真剣そのもでした。
入選作が一堂に並べられた「干支コンテスト」の会場(新宿センタービル内の朝日生命ギャラリー)。



大賞狙いの対策
 今回グランプリに選ばれた田畑奈央人さんの「プードル!?」は、羊に固有の毛糸を主要なモチーフとして活かし、作品化して成功しました。 当然ながら、羊をプードルに見立てたアイディアや、愛らしい表現、それを実現するための優れた技術が備わっていたのも見逃せません。
 一方で、オリジナル賞を受賞した「羊のえとびな」「南風からの共祈り」などは、他の干支に置き換えても作品化できる点で、惜しくも大賞には届きませんでした。 それとは反対に「新しい年への衣替え」(アイディア賞)、「“ひつじ草”文大皿」(同)、「羊こそ!!青玉、紅玉、黄玉」(ユーモア賞)、「犬を監視する羊たち」(同)などは、羊をテーマとして押さえ、羊ならではの必然的表現が見られた点では、ランクアップの受賞となりました。 こうしたアイディアを来年につなげ、あと半歩の技術力さえあれば、充分に大賞になる作品と思えます。
 ところで、今年度の審査結果のなかには、残念ながら形・絵付・文字各部門からの、大賞受賞作品がありませんでした・・・。
 この点について岡本立世総長(審査委員長)は、「それぞれの部門のなかの、最高の作品を大賞にするように審査したのではありません。 今年度の彫刻大賞作に比肩しうるテーマや発想、デザインや技術力がなければ、やはり、大賞作品としては評価できなかったからですよ」という、苦渋の決断があったことを教えて下さいました。
 率直にいえば、彫刻部門の大賞作品と他部門の最優秀作品との間には、やや開きがあったということなのでしょう。
 では、来年度以降、各部門で大賞を狙うための対策は・・・。 形部門では用途が必要条件ですから、猿(来年度のテーマ)の形態的特徴や、猿から受ける用途のイメージが、そのまま形となって表れたような発想の作品。 絵付部門では、単なる絵ではなく、絵の特質を活かし、立体にはできない作品が求められています。 文字も同様に、個性的な表現として、猿ならではの文字が、あるべき位置にある作品ならば、大賞がバッチリ狙えそうです。 ただし、猿に相応しい器の造形性やデザイン性が伴っている必要もあります。
 審査を終えた岡本総長は、来年に向けた目標として、「今年度の出品作のなかには、羊をたくさん集めて集合作品とし、作品にボリュームを持たせようとするものが、割と多く目につきました。 審査員から見ると、集合は単体作品より弱く見えます。 できれば、単体での凝縮した表現を考えてほしいですね」とのアドバイスを下さいました。
 すでに次回の干支コンへ向けて、スタートが切られています。 感動的で、新鮮な「猿」に出合えるのが楽しみです!



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