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《 「第26回 国際陶磁器展美濃」レポート ・・・P1の続き 》

「第26回 国際陶磁器展美濃」レポート



長谷川善一 他「不用食器の役立ち…REPRODUCTION『土はじき』」
径115.0×70.0p(全体)
デザイン部門 審査員特別賞(選−タピオ・ウリヴィーカリ氏)



意識される陶の特質

GESZLER-GARZULY, Maria(ハンガリー)
「Drama in the Garden」
高61.0 径31.0p
陶芸部門 銅賞
 では、陶芸部門の応募作はというと、前回展を5カ国、108点上回ったそうです。
 特徴としては、意味のない組み作品や、インスタレーション的な展示方法による現代美術指向が、ぐっと少なくなったことです。 それに変わって台頭してきたのが、陶という素材の特質や制作の過程で表れる必然的な状態を、巧みに表現として取り込んだ作品です。
 たとえばグランプリを受賞した「絶」(前ページ写真参照)は、磁器の焼成プロセスそのものを作品化した迫力ある大作です。 他方では、作者の心証を映し取ったような繊細、かつ完成度の高い器も出品されていて、注目を浴びていました。 そしてそれらの作品は一様に、細心の技術と配慮によって、とても丁寧に仕上げられていて驚くばかりです。
 両部門の展示品に共通しているのは、伝統技術から最新のテクノロジーまでを用い、陶芸に固有の特質を意識したうえでの作品制作です。 そしてさらに将来に向かっての、やきものの可能性を示唆するような作品が、高い支持と賞賛を得ていたように感じられました。



世界標準のやきものコンペ
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「国際陶磁器展美濃」
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同展作品集(図録)は、見ているだけでも楽しめます。
 1986年より、美濃の三市一町(多治見市、瑞浪市、土岐市、笠原町)などが中心となり、トリエンナーレ形式(3年ごとに、の意)で開催されている世界的な公募展が、「国際陶磁器展美濃」です。 伝統に培われた豊富なやきものの技術や、訓練と教育を積み上げた人材など、美濃の長所を世界中に知ってもらいたい…。 大陶産地・美濃のまさに面目躍如たる画期的な企画が、本展の開催でした。
 今では、欧米の陶芸先進国を中心に50カ国以上から作品が集まり、日本で開催される世界的なコンペと認識され、評価もとても高くなってきています。
 また対象分野は「陶磁器デザイン部門」と「陶芸部門」のふたつ。 テーマはとくに設定されず、自由な発想で、未来を切り拓く作品が求められています。




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