−−先回は斗々屋茶碗のなかでも、古来から最も著名な「利休斗々屋茶碗」の的伝についてお聞きしました。 ・・・ですが師弟にして、個性の異なる傑出した茶の湯の大家3人が、それぞれいいとする茶碗をイメージしてみると、どうしても納得しづらい部分もあるのですが・・・。 安藤●まさに利休と織部の美意識は対極にあり、その中間的な位置をとるのが遠州のように見られがちです。 けれども、ここで忘れてはならないのは、師弟関係にあったこの3人が生きた時代は、各々異なるということです。 それぞれの生きた時代背景がこうした指導者を創り、また社会がこの3人の先達を選んだという現実を踏まえて下さい。 そうした時代の要請と選択があってはじめて、天下の茶の湯の達人が誕生したのです。 そして、利休も織部も遠州も、同じように各時代の文化を強く牽引していました。 −−はい。 独善的な茶の湯ではなく、広く世の中が認めたことは、歴史が証明しています! 安藤●また当然この3人の、禅の教理に基づく精神的根本的理念は、ひとつであったのです。 遠州は織部の高弟として、さらにその師であった利休の気持ちを深く汲み取り、伝わっている茶だと思います。 つまり、精神を重視する茶の湯といえます。 −−それにしても「利休斗々屋」は一見、カサカサしたような印象の茶碗で、凡人には素直にいいものとは思えないのですが・・・。 安藤●表面的には「利休斗々屋」に、3人に共通の美意識を認めにくいかもしれません。 しかしこの3先達には、余人には計り知れない心の目があって、茶碗を単なる道具としての認識でなく、そのものの持つ精神を受容し、解釈していたのではないでしょうか。 こうして、心を同じくする不世出の人物の交わりをみていくと、文化とは、このような深い人間関係の連環によってこそ成立しているものと感じられますね。 |
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(構成・編集部) |
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■「九炉土展」の開場は、 10月30日(水)の午後1時 | |||
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出品者の皆さんのなかには、ひょっとすると、これから追い込みをかけるという方がいるかも知れません。 恒例の「陶房 九炉土会員作陶展」は、左記の予定でいよいよ今年も開催されます。 第22回展の統一テーマは、「蓋もの」です。 オーソドックスな土鍋やティーポットはじめ、想像もできないユニークな発想による蓋もの作品まで、一堂に展示発表されます。 また今年も例年同様、一部展示作品の販売を実施します。 趣味での作品作りですから、コスト度外視の値づけも多く、お得な掘り出し物も豊富に出品されています。 お早めに会場へ! |
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●10月30日(水)〜11月3日(日・祝) 10時〜6時(初日1時開場、 最終日4時終了) ●朝日生命ギャラリー(新宿・ センタービル51階) ●東京都新宿区西新宿 1−25−1 ●03-3349-0151 |