全国旅手帖緑光窯/砥部焼

緑光窯 [りょっこうがま]



砥部川へそそぐ小さな川を渡って、
磁器創業以前の砥部焼の中心地、
北川毛へ。
「砥部焼伝統産業会館」から徒歩約10分。のどかな里山のなかを行くと陶板で飾られた「陶芸橋」という名の小さな橋が見えてきます。ここが砥部焼発祥の地・北川毛・五本松エリアへの入口です。
橋を渡りきった地点にある 「窯元案内板」 で緑光窯への道のりをチェック。民家が続く細い道を数分歩けば緑光窯に到着です。
■工房

制作中の作品や作業台、ロクロ…
窯元では珍しくない風景ですが緑光窯の工房は独特の空気が漂い、何か懐かしい、味わい深い雰囲気に包まれていました。
水墨画を習っていた経験から完成した水墨画調タッチの絵付けが魅力的です。「砥部の土にはつけたてが似合う」と骨描きをせず、リズミカルな筆運びで生まれた濃淡の効果によって草花が生き生きと描き出されています。
左の作品は貫入を文様表現としたものと青白磁の濃淡を見事に生かしたいずれも大作。

亀田氏のご子息・茂友さん。現在は食器の成形を茂友さんが、絵付けを亀田氏が担当し、お二人で制作を行っているそうです。取材時には展覧会に出品する作品を制作中でした。


「モクモクに吹き付けられた釉が美しい器肌を作る秘訣」
青白磁の色合いを深く出すためには、たっぷりとした施釉が必要となります。 そのためには、浸し掛けではなく、吹き付けによる釉掛けをしているということです。下まで流れつかずに止める厚みは、経験から得るもので、亀田氏ならではの表現といえます。
表面が盛り上がるほど大量の釉が吹き付けられています。 乾燥後、かんなで彫りこんでたっぷりと青白磁釉を吹き付けると、このような透明度の高い器肌に仕上がります。



■作家紹介―伝統工芸士・亀田茂樹(かめだしげき) 砥部焼協同組合 理事長

砥部の土の特徴を活かした優しい器肌の青白磁と水墨画調の絵付けが魅力。土を筒状にして櫛目や印文を施し、ロクロの回転を利用して内側から押し広げることで、壷などの膨らみと共に文様を作り上げる手法を得意とします。
彫文、釉彩など多岐に渡る技術を保持していた陶芸家・松田哲山に学んだ技から生み出される砥部焼の伝統的技法を踏まえた作品作りで砥部焼伝統工芸士に認定されています。

<略歴>1951年生まれ。陶芸家・松田哲山に師事。1984年愛媛県美術展特選、他入賞多数。1987年日本工芸会正会員。日本伝統工芸展入選6回。日本陶芸展入選2回。一水会陶芸展入賞・入選多数。日芸展入賞・入選多数。愛媛の陶芸展最優秀賞、他入賞多数。1997年伝統工芸士(成形部門)に認定。1999年日本伝統工芸士会作品展入選。2000年日本伝統工芸士会作品展特選。全国伝統的工芸品センター推奨品に認定。
DATA
住所 愛媛県伊予郡砥部町北川毛774-1
TEL 089-962-2524
OPEN 9:00〜17:00
休業日 不定休
料金 湯呑み約1,000円〜
アクセス JR松山駅・松山市駅から「大岩橋」又は「断層口」行きバスで約50分、「砥部焼伝統産業会館前」下車、徒歩10分。

※掲載情報は変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください


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