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鈴木治の泥象とうつわ 馬・風・波・雲 ―森羅万象を焼く

「馬 青白磁」(1977年) S氏コレクション蔵
 1926(大正15)年、京都に生まれた鈴木治(1926-2001)は、1943(昭和18)年、17歳で京都市立第二工業中学校窯業科を卒業し、1945(昭和20)年、陶芸の道に入りました。1946(昭和21)年、中島清、八木一夫、山田光らと青年作陶家集団の結成に参加します。1948(昭和23)年、彼らと共に自由な造形としての陶芸を目指し、走泥社(そうでいしゃ)を結成しました。
 鈴木は抽象的な絵付を施した器物制作から始め、1955(昭和30)年頃から機能を持たない造形作品としての作陶を展開しました。昭和40年代には「泥像(でいしょう)」と名付けた信楽土による焼締作品を発表。1969(昭和44)年以降は青白磁にも取り組み、自らの作品の表現の幅を広げました。また、1983(昭和58)年からは、陶による自らの造形作品を「森羅万象」の語からとって「泥像」から「泥象(でいしょう)」という言葉で表すようになりました。
 馬や鳥、あるいは雲や風などのモチーフを、洗練された抽象形態で表した一連のシリーズは、戦後日本陶芸の記念碑となっています。また、古陶磁への鋭い洞察から生まれた器作品や、ユーモア溢れる愛らしい動物モチーフの小品群にも、そのみずみずしい感性が発揮されています。

「黒いペガサス」(1996年) S氏コレクション蔵
 現代美術のコレクターであるS氏のコレクションには、約200点あまりの戦後の陶芸作品が含まれています。これらは「陶芸」というカテゴリーではなく、現代美術として捉えて収集されたものです。本展覧会では、S氏コレクションの中から、鈴木治を中心に、八木一夫のほか、走泥社同人たちの作品など、初公開を含む約150点を紹介します。

●2010年7月3日(土)〜8月29日(日)
●茨城県陶芸美術館 地階企画展示室(茨城県笠間市笠間2345 TEL.0296-70-0011)
●開館時間:午前9時30〜午後5時(入場は午後4時30分まで)
●休館日:月曜日(但し、7月19日(月)は開館、20日(火)は休館)
●観覧料:一般700円、高大生500円、小中生250円

関連イベント
◎美術講演会
講師 金子賢治(当館館長)
◎ワークショップ(体験型)
わたしの「掌上泥象徴(しょうじょうでいしょう)」をつくろう
◎ギャラリートーク(1回)




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