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 九州やきもの散歩 B ・・・ 三川内・有田・波佐見篇


深川製磁の栄華知る

 旅のルートはハウステンボス、三川内、波佐見を見学して、本日の宿泊地 ・嬉野温泉へ。 そのままの近道もありますが、三川内から、有田を通るのが賢明なコースです。 道沿いにチャイナ・オン・ザ・パークや柿右衛門窯、井上萬二窯があるので立ち寄ってみることにしました。
 「チャイナ・オン・ザ・パーク」は、有田の名窯・深川製磁の歴史と製品に接しながら、その素晴らしさを実感することのできる展示施設です。 元々深川製磁は、同じく有田窯業の近代化に大きく寄与した窯元・香蘭社の初代社長・深川栄左衛門の次男・忠次によって設立されました。 とくに欧州向けなど輸出用食器の生産を目的としました。 それら窯の歴史資料や、海外で好評を博したあまたの佳品などを、ゆったりと鑑賞できます。
 また昨今では、多様化の進む現代人の食生活に対応した優れたデザインの食器を多数生産しています。 それら様々な提案をひとくくりにし、洗練されたテーブル・コーディネイトという具体的な形で、多彩に展示されていて見応えがありました。
 なお、お土産に食器をと思う方は、ここの「瓷器倉(じきぐら)」での買い物がとにかくお買い得。 いわば深川製磁のアウトレット・コーナーで、規格外品が破格値で手に入ります。
◆ チャイナ・オン・ザ・パーク 
佐賀県西松浦郡有田町原明乙 111
TEL:0955-46-3900
明治27(1894)年創窯の深川製磁は、明治時代に宮内庁御用達となって以来、今日の平成の時代に至るまで皇室・宮家に器を納めてきた名窯です。 ここではその深川製磁の歴史を辿りつつ、また、とくに現代生活にどう活かして使うかという提案型の展示も多く、磁器発祥の地・有田にあって、改めて磁器の魅力が堪能できます。
広い館内では深川製磁の歴史と、最新の意匠の食器がテーブル・コーディネイトされています。
   
左●明治期の職人による大壺。
上●欧州輸出用のスープ皿。描かれた波鶴、秋草、鯉の各文様にいかにも異国情緒を感じます。
明治から使われた赤絵道具。
昭和天皇に「機械化できないか」と問われたとか。
図案帳を見せる永尾光弘次長(中)。
階段を登ると忠次館。
アプローチ



伝統窯を歩く

 昨年は、今右衛門窯を訪れましたが、もう一方の雄はやはり「柿右衛門窯」。 有田では米の研ぎ汁を「濁し」といい、そんな温かみのある白い肌を持つのが、柿右衛門特有の磁器肌=濁し手です。 素地の余白を充分活かした上品な赤絵が描かれるのも、この窯ならではの特徴です。
 柿右衛門窯のすぐ裏手には、14代柿右衛門と同じく、人間国宝に認定されている「井上萬二窯」があります。 展示室では、一分の狂いもないロクロ造形の白磁を見ることができました。
 九州には知的刺激を受ける美術館や窯元が目白押しです。
 やきもの散歩しませんか? ■
◆ 柿右衛門窯 窯元 
佐賀県西松浦郡有田町南山丁 352
TEL:0955-43-2267
日本で磁器の焼成に成功したのは、李朝の陶工 ・李参平。 江戸時代初期の1616年頃。 その27年後に赤絵磁器を完成させたのが初代柿右衛門ですから、365年もの伝統を背負う窯元です。 当代は14代を数え、人間国宝に認定されており、窯の火を守りつつ個人作家としても活躍しています。
14代酒井田柿右衛門作の大皿。
余白を活かして描く赤絵が美しい。
古陶磁参考館に展示されている「色絵芙蓉手花鳥文皿」。
柿右衛門窯の古陶磁参考館と展示室。
400年の歴史ある柿右衛門窯入口。 庭にはシンボルツリーの柿の木が。 工房の外観。


◆ 井上萬二窯 
佐賀県西松浦郡有田町南山丁 307
TEL:0955-42-4438
1995年に白磁の技術保持で人間国宝に認定された井上萬二さん。 冴えたロクロ技は、右に出る者がいません。 端正な無地の白磁作品ばかりでなく、彫文を施した作にも注目です。
   
作品展示場では人間国宝のロクロ技の冴えを見ることができます。


◆ 野外博物館 世界の窯広場 
長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷やきもの公園
TEL:0956-85-2214 (問い合わせ先)
波佐見町やきもの公園内にある、世界の窯広場。 見学に行くと、いかにも陶産地ならではの施設という感慨が湧いてきます。 丘の上から下へと順に、古い時代から辿って窯が並べられています。 東には中国や日本など東洋の窯、南にヨーロッパの窯が配されています。 世界の窯の歴史や技術を簡便に知ることができます。
上●案内板は染付。 右●小高い丘から世界の窯を見下ろす。


◆ くらわん館 
長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷 2255-2
TEL:0956-26-7162
ここはいわば、波佐見焼を広める役割を担う観光物産館。 町内の40軒あまりの窯元や業者の扱うやきものがズラリと、一堂に揃っています。 高級品も並んでいますが、眼を皿のようにして見ていけば、思わぬ掘り出し物が見つかるかも知れません。 ほかに地元特産の地酒や味噌なども扱っていますから、お土産にどうぞ。
どんな器でも作ってしまうのが波佐見焼の特徴。じっくりと品定めしましょう。


・・・・・・ 3ページに続く



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