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(28)  沓形織部茶碗
茶碗の形には、井戸形、筒形などありますが、今回の沓形織部はきわめてユニーク。ゆがみをおもしろがった先人の人間力に脱帽!日本人に生まれてよかった、とさえ思わせてくれました。


 織部焼は自由な造形が身上です。 なかでも色といい意匠といい、破格な造形美なのが「鳴海織部」。 山端直子さん作の茶碗は、その特徴をよく捉えた秀作です。
 ところで、「沓形(くつがた)」って、どんな形なのでしょう?
 どうやら沓とは、宮中や神社で用いられる木沓(きぐつ)がルーツ。 その前後が丸みを帯びていることから転じて、楕円形や不規則な三角形に作為的にゆがめられた形状をいいます。
 この沓茶碗は桃山後期に登場したのですが、『宗湛日記』という書物におもしろいエピソードが残っています。 古田織部が伏見の茶会

                      作品:山端直子
                      高7.5 径13.0cm
(1599年)を催した時のこと。 使われた異形の茶碗を描写して「ヘウケモノ也」と! その奇抜さは、当時でもかなりのインパクトだったのでしょうね。
 さて、そんな史実をつらつらたどりながらのお茶時間。 抹茶のお供に和菓子といわず、ぜひ一度チョコをお試しください。
 カカオの風味と抹茶の渋さが意外とイケます。 ほら、織部のような自由な発想!?ですよ。




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