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第3回 「たち吉陶芸倶楽部」(東京校)作陶展から
回を追ってますます高くなる技術水準  
恒例「たち吉陶芸倶楽部」作陶展が、先頃(2月17日〜22日)開催されました。


3回を迎えた発表展

 九炉土千駄ヶ谷校で開講されている「たち吉陶芸倶楽部」東京特別講座の作品発表展が開催され、大盛況でした。
 たち吉東京店で開催していた同展が、京都校との合同展となり、京都の本店に会場を移してから今回で2回展を数えます。
 また、東京校から出品された作品については、岡本立世総長が審査委員長となって審査が行われ、本誌面で発表するとおり、「たち吉賞」「岡本立世賞」など栄えある各賞が授与されました。


たち吉賞
請盛房子 さん
「変形鉢」

 
岡本立世賞
大田浩子 さん
「キャベツハート皿」

 
技術賞
林 順子 さん
「鼠志野組板皿
(2枚組)」



器のニュアンスを表現

 たち吉の器に学ぶ・・・・をテーマにした授業であることも関係しているのでしょうか。 出品作全体を見渡して、まず感じられたことは、これらの器に料理を盛って使ってみたいなぁ、と思わせる雰囲気ある作品が、例年にも増して出品されていました。
 岡本総長は「年を重ねるにつれ、表現力が上がってきていますね。 とくに、上位賞を決めるにあたっては、甲乙つけるのが難しいほど拮抗していましたよ」と、総評を下さいました。
 たち吉賞の作は、器の内側の凹凸や釉の濃淡、口縁の変形などのラフさが効果的に活かされ受賞につながったようです。 また岡本立世賞は、ランダムな印花を四角の曲げと反りがキリッと引き締め、全体のバランスがとれている点が認められました。
 各賞とも技術が安定しているのは当然ですが、特に上位は土の特性を上手く活かした装飾と釉掛けが評価されました。 ■


部門賞(食器)
田中章子さん

「刷毛目板皿」


新人賞
柳下久美さん

「備前緋襷徳利」


努力賞
大根田 亮さん

「伊賀皿」




こんな風にしたい!と思った時、あれこれ方法を考え実行するのはワクワクもの。今回は、そんな釉本来の楽しみを刺激してくれます。 
45 アメ釉+藁灰マット釉

 明るく上品で、しかもシブさもある今回の茶碗。 その地色は、アメ釉とワラ灰マット釉の重ね掛けで生まれたものです。 そして、胴部にも特徴的な模様が見えます。これは、第3の釉・・・・?
 いえいえ、使っている釉薬は正真正銘2種類のみ。 実は掛け方にちょっとした秘密があったのです。 その工程を紹介します。
 まずアメ釉を全体に掛けます。 浸し掛けがベストですが、吹き掛けなら3〜4回ほど吹きましょう。 次に胴の模様を出したい部分に釉抜き剤(蝋)を塗り、そのあと再び全体に藁灰マット釉を浸し掛けします。


作品:藤井 節 高7.5 径12.0cm
 これを焼成すると、コントラストの効いたシブい模様が出現します。 つまり模様部に藁灰釉は掛かりませんが、焼成で蝋がとけ、2種の釉の境界部が自然ににじみ込み、趣ある景色となったのです。
 この手法を生かすには、釉の重なりの効果を知った上で使うのがポイント。 経験とセンスで、自分らしい色を見つけましょう。



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