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  とっておき
★ WALKING POINTS ★   <13> 
伊賀(いが)
(三重県上野市)

もちろん俳聖・芭蕉像もやきもの!

様々な工夫の凝らされた窯が見られます。(西山窯にて)
 さて、巻頭ページの「やきもの散歩」でも紹介した伊賀焼は、三重県上野市周辺と阿山郡阿山町丸柱地区を中心に、今も盛んに焼かれていて、およそ40人ほどの陶芸家が活躍しています。
 伝統的には、極めて意識的な、力強い造形が特徴のやきものですから、土は荒々しさを表現するため、小石が交じった山土がよく使われています。 しかも、穴窯などを用いての、高温での焼締め焼成に耐えることも条件のひとつになります。 その結果、見事な青緑色のビードロと焦げ、さらに、緋色などが混在した複雑で深い焼き肌が生じます。
 また昨今では、これら伝統的な様式とは一線を画した、茶陶以外の多様な作品も焼かれ、高い関心が持たれています。
観光ルートにも組み込まれている「俳聖殿」。 そのなかにひとり鎮座する「芭蕉像」も、伊賀焼のひとつです。 なかなかいい焼き肌をしていて、感心します。
鉢や皿などの器に、幾何学的な模様が彫り込まれたり、絵付された作品。 あるいは、土鍋など日常雑器のひとつにターゲットを絞り込み、特化した制作を行う作者も見られます。 他方、造形性に重点を置いて追求し、用途を持たない作品制作なども見られるようになってきました。
 しかしその多くが、伊賀土や釉など素材の特徴や、固有の焼成法などの伊賀の伝統を踏まえ、それらを作者なりに読み直したうえで、様々な個性的な創作を展開しているに過ぎません。 広義に解釈すれば、作者各々の理解と解釈による「現代の伊賀焼」だといえるのです。
 上野市街やその周辺、丸柱地区などの陶器店や専売所では、こうした多様性に富む現代の伊賀焼に出合うことができます。

 それから、伊賀の真価のひとつは芭蕉さんを焼いたことでしょう。 この伊賀焼の芭蕉像は、「俳聖殿」のなかに今も静かに納められています。 正面の扉は閉まっていて多少薄暗いのですが、格子越しにしっかりと見ることができます。 この実にいい焼きあがりの芭蕉像は、上野市の誇りだと感じました。必見!



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