インターネット版 No.51 | 全2ページ 1 | 2 |
1 | ・<特集> 伊賀やきもの散歩 ・・・ 「穏里庵」と「伊賀西山窯」探訪 |
2 | ・とっておき WALKING POINTS (13) ・・・ 伊賀 |
豊かな歴史と文化を育み、自然に恵まれた三重県・伊賀。 今回は、九炉土陶芸クラブ名誉会員の長岡文さんと、ベテラン会員の藤井節さんと一緒に、やきもの散策してみたいと思います。 | ■芭蕉像 ●街の散策の中心地となる近鉄伊賀線・上野市駅の駅前には旅姿の芭蕉像がたたずみ、ここが俳聖の生まれ故郷だという実感が湧いてきます。 この像は、やがて江戸へと旅立った芭蕉にちなみ、東を向いて建てられています。 |
■豊かな文化・風土
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新幹線を名古屋で降り、のんびりと田園地帯を抜けて走る関西本線に乗り換えると、車窓に広がる風景には、ぐっと旅情が漂いはじめてきます。 2時間ほど列車に揺られて、いよいよ伊賀上野駅に到着しました。 伊賀焼と忍者の里としてあまねく知られる三重県上野市は、俳人・松尾芭蕉の生まれ故郷としても世界的に有名です。 ことに今年は、芭蕉が生誕360年を迎える年にも重なっており、古くから「秘蔵のくに」と呼ばれてきた伊賀地方の、豊かな歴史や文化、さらには、自然・風土にも触れられる各種催事が目白押しです。 そのため、内外から訪れる観光客で、通年盛り上がっているといいます。 |
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■本場の陶芸を堪能
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JR伊賀上野駅では、芭蕉と同様に上野市が生まれ故郷の岡本立世総長と合流し、まずは上野城はじめ、周辺にいろいろな施設が整っている上野公園方面へと向かうことにしました。 天守閣を見学しがてら、「芭蕉翁記念館」「伊賀流忍者博物館」、それに「俳聖殿」などにも立ち寄りながら、城へと続く石段を進んでいきます。 さすがに、桃山時代から茶陶の名品を焼いて栄えた産地なだけに、古伊賀の窯跡は上野城内からも見つかっています。 この城を開き、伊賀藩主となった筒井定次の治世中に焼かれたものを「筒井伊賀」と呼び、その後伊賀国を治めた藤堂高虎の時代に作られたものを「藤堂伊賀」といって、区別しています。 しかし、どちらの伊賀焼も茶陶の優品であることに、なんら違いはありません。 上野公園前から車で10分ほど走ると、眺望のよい小高い丘のうえに着きます。 ここに「穏里庵」が建っていました。 岡本総長のアトリエであり、作品展示室でもあります。 江戸時代からの建物を現代的な美意識を活かし、しかも使い勝手よく設計されています。 とくに天井の梁と、室内のデザインやインテリアなどとのコントラストが見事で、強く印象に残りました。 翌日の午後、西山窯へと向かいました。 伊賀上野駅から20分ほど、西北の草深い山中に窯が築かれています。 坂本瀧山先生と長男で三代瀧山を襲名した俊人さんが守っている、伊賀を代表する窯のひとつです。 ここでは長岡さんと藤井さんは、坂本先生にアドバイスを受けながら、伊賀茶碗の制作に挑戦しました。 すでに基本技術が身についているため、坂本先生は目を細めながら、ふたりの指先を眺めていました。 風が西山窯を渡っていきます・・・・。 |
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