インターネット版 No.48 全2ページ 1 | 2|

1 ・九炉土流 上絵付はこんなに楽しい!
2 ・とっておき WALKING POINTS (12) ・・・ 大谷(おおたに)

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左の壺は、白と黒の下地は釉薬で、隣りの花入はコバルトの色土で素地を焼いてから、各々上絵付をしました。
右の香炉も、呉須で下絵を施してからの上絵付です。どの作も個性的な上絵により、グッと作域が広がりました。

まず桜の樹の幹や皿全体の背景の濃淡を、釉を使って描き分けておき、本焼します。 それから花弁のピンクや白を上絵付し、さらに幹には金彩をします。 するとこんなにも煌びやかで、雅趣ある作に仕上がりました。
右の作品にはシャレた仕掛けが・・・。 ソーサーには草原を駈ける馬が色絵付され、一方のカップには銀を塗っておきます。 さて、完成したカップを皿にのせると、銀彩が鏡の役目になって、跳ね馬が映りこんでとてもキレイです!


    
左=上絵を施して焼きます。焼成後、さらに金で花びらや葉の輪郭を筆で入れていきます。
中央=金彩を入れ終えた状態の作品。焼成前の金が黒っぽく見えます。
右=花びらや葉脈がくっきり際立ち、典雅な雰囲気を醸し出す完成作。深澤暁美



九炉土流の「絵付」とは? 
 よく湯呑みなどに見られ、縦に上から下へと、細い線条を何本も引いたとても単純な文様があります。 線を麦藁に見立てて、これを「麦藁手」といいます。
 この文様は、黒や赤の上絵付、あるいは呉須で描かれることが多いようですが、これも広義な意味においての絵付です。 作品によっては、この細い線が震えてゆがんだり、時にはかすれたりしています。 そういった風情が、まるで作者の心模様を投影しているかのようにも感じられ、なかなか興味深いものです。
 このように、最も本源的な陶芸の絵付は、ひとつの点、あるいは一本の線からはじまっているともいえます。
 とかく絵付と聞けば、微細に描かれた花鳥風月などを、思い起こしたりします。 しかし生活様式がますます多様化し、器が使われるシーンも、個々様々に変化している現代において、絵付だけが固定概念にとらわれたままの必要はありません。
 そのように、まず旧態依然とした陶芸の絵付の概念から作者を開放し、そして、感じるまま個性的に色を使い、描きたいものを自由に描くことを提唱するのが、九炉土流の「絵付」です。


写実的な、あるいは伝統的な花鳥風月だけが上絵付ではありません。 デフォルメされた模様や現代的パターン模様など、ひと筆入れるだけで、雰囲気がガラリと変わります。 ティータイムが楽しくなりそうな絵付ばかりです。
もし以前に、白い素地の作品を作ったことがあれば、イメージチェンジさせてみましょう。 たった1本の線が、見事に印象を変えてしまいます。 上絵付の色は、白い地肌にとくに映えて、独特な清潔感を演出します。

「上絵付」だからといって、なにも磁器の産地などに見られる、職人仕事風な絵付をする必要はありません。 むしろ個性や現代性、あるいは都市的な広い意味での絵や模様を、とらわれることなく楽しく、自由に描きましょう!



拡大する絵の可能性 
 さて、そのような九炉土流の上絵付を実体験するためには、年に2、3回のペースで開講されている短期集中専門講座の中の「上絵付を学ぶ」コースを受講するのがベストです。
 まず受講前までに、上絵付をしたい作品を各自で用意しておきます。 本焼を終えた陶磁器ならば、ほとんどどんなものにでも可能(ただし、織部などは不向き)だそうです。 過去に作った作品でも、あるいは市販されている白磁などのカップや皿にも、もちろん上絵付できます。 そして準備ができたなら、あとは思いのままに描くだけ。
 もとより九炉土流の絵付では、写実的な絵柄であってもなくても構わず、なにを描くにも制約はまったくありません。 絵付を絵という概念で捉えず、自然に、装飾の一部として考えられる指導が受けられます。 実際、そういうアドバイスを受けると、不思議と肩の力がすっと抜け、自由に、軽やかに筆が走ります。
 確かに、抽象的な幾何学模様に色を塗ったり、または一本の線をスッと入れるだけで、作品の雰囲気はまったく違った次元へと展開していきます。
 絵付の範囲を捉え直す機会が得られて、表現の可能性が驚くほど拡大するのを、はっきりと実感できる専門講座です。



グ レ ー ド ア ッ プ

短期集中専門講座上絵付を学ぶ
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 日頃から、興味や憧れはあったのに、何となく作陶の機会を見つけられず、修得できなかった技術。 そんな新たな陶技に挑戦するには、この短期集中専門講座の受講がとても効果的です。

 「上絵付を学ぶ」では、13色+金・銀を自在に使い、作品を華麗に彩ります。 陶芸の新たな可能性を、はっきりと実感できる専門講座のひとつです。
 またほかにも、この6、7月に開講されている「本格備前焼を学ぶ」や「桃山陶に学ぶ」など、魅力の講座が目白押しです。

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