■誇らしげな作品群
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「昔も今も四条(京都)の茶わん屋」として全国的にも超有名な「たち吉」は、およそ250年ほど前に創業したという、日本でも屈指の陶器商としてよく知られています。
そもそも、九炉土千駄ヶ谷校で開講されている「たち吉陶芸倶楽部」東京特別講座は、そのたち吉のブランド・イメージと、九炉土が積年にわたって培ってきた陶芸指導の実績やレベルが一致して、実現したものです。
この特別講座の特徴は、「たち吉の器に学ぶ」ことを基本において、丁寧で、分かりやすく技術が修得できるようカリキュラムが構成されていることです。 ここにいう「学ぶ」とは、器作りを見習ったうえで、自らで知り覚える、という意味です。 そのうえで誰もが陶芸を修められるように、周到に準備された講座ともいえるでしょう。 当然ながら、九炉土のベテラン講師陣がしっかりと同講座を理論と技術の両面からバックアップしていますから、安心して「学べる」のはいうにおよびません。 |
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今を遡ること250年前の江戸時代、宝暦年間に創業したという老舗陶器商・たち吉本店。 この地階スペースで「たち吉陶芸倶楽部」作陶展が、開催されました。 |
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そういう講座で楽しみながら制作され、今回、たち吉本店に晴れやかに展示された作品群は、どれも誇らしげに見えました。
また、東京校からの出品作については、岡本立世総長を委員長として厳正な審査が行われ、「たち吉賞」「技術賞」「新人賞」の各々が、出品された2点の作品がともに優れていて、安定した技術力がうかがえる作品に対して授与されました。
さらに「岡本立世賞」と「努力賞」のそれぞれの賞は、とくに優れていると認められた作品(単体)に贈られました。 |
岡本総長は「伝統はその特徴をしっかり押さえながらも、過去の模倣でなくオリジナリティーが感じられること。 創造性の強い作品では、デザイン力と技術力がともに卓越していて、形(フォルム)、釉薬、文様のバランスが自然で、ムリのない作品が高い評価を得ましたよ」と、総評をして下さいました。
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右■岡本立世総長が揮毫した色紙「人それぞれにして同じ円なし」。 人が円を描けば、当然それぞれに違いがあるから、自身の個性を尊び、各々の道を進めばよい、の意。
陶芸を楽しむ際の、大切な心得のひとつです。 |
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会場を訪れた来観者らは、伝統的な織部でありながらシャープな造形美を見せる「舟形花器」(岡本立世賞−林順子さん作)や、奥深い雰囲気を湛えた「伊賀花入蹲」(たち吉賞−平山法子さん作)などに、とくに関心を惹かれていたようです。 ほかにも技術賞となった山田和子さんの板皿や、新人賞を受けた谷口安弘さんの黄瀬戸皿、同賞の窪田升二さんの伊賀角大皿も、強い存在感を示していました。 もちろん受賞作以外の作のなかにも、とても丹念に仕上げられた作品や、現代的なデザイン感覚にあふれたアーバンな作などがあって感心します。 東京・京都校ともに、同講座を受講する皆さんの水準の高さを、はっきりと内外に示すことのできた合同作陶展でした。 |
スポットライトに出品作が浮かび上がる作陶展会場
(たち吉本店地下2階のスタジオ・コムにて)。 |
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