とっておき | |||
★ WALKING POINTS ★ <11> | |||
上野 (あがの) (福岡県田川郡赤池町) |
手にすると、軽さに驚く「薄づくり」の茶陶作品。 |
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開放される「まぼろしの窯」 | |||
福岡市の中心部から北東に約45キロ、上野は、周辺を山地に囲まれた自然豊かなやきものの里です。 標高901メートルの福知山の麓にあるのは、渓谷の美しい北九州国定公園上野峡。 この近くに上野焼の29軒の窯元が点在しています。 |
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上野焼といえば、昨年「上野焼400年祭」が開かれ、ちょっとした話題になりました。 その昔、茶の世界では、上野焼は「まぼろしの窯」といわれたのです。 利休七哲の一人、茶人大名・細川忠興の庇護によって生まれ、伝統的に茶陶を焼いてきた窯場ですが、市場にあまり出回らなかったからです。 現在でもほとんどの窯元で、展示即売で製品がはけてゆき、全国的な販路をもたないといいます。
さて、上野の回り方は、はじめに交流会館内にある「上野焼陶芸館」へ。 そのあとはじっくりと各窯元を巡るのが有効です。 まず、それぞれが立派な構えなのにビックリされるでしょう。 さすが歴史ある茶陶の窯里・・・・、展示場も充実しています。 「上野焼」と書かれた高鶴夏山窯の煉瓦作りの大煙突は、旅のベストショット間違いなしです。 さぁ、細川公好みの上品な「薄づくり」の逸品を手に入れたら、周辺にも足を伸ばしては?上野峡はじめ、神の山・英彦山など、観光スポットも控えてます! |
HOTLINE | ||
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無事に窯出しされた作品。 それぞれのテーマに沿って作られています。 |
(24) コーヒーカップ&ソーサー | |
昔から「備前焼に入れた酒は、格がワンランク上がる」といわれるそうです。本当でしょうか・・・。 今号は緋襷のカップにちなんで、備前焼と「おいしい水」の関係を紹介します。 |
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今回の緋襷(備前)のカップは、山田薫さんの秀作です。 ろくろ目の美しい端正な形に、丸みのある把手が柔らかな感じを出しています。 持ちやすそうな、丁寧な細工も目を引きますね。 備前焼といえば、クリーミーな泡立ちでビールが美味しく飲めるビアマグの話題が、すっかりポピュラーになりました。 では、コーヒーならどうでしょう? ――残念ながらそうした噂は耳にしませんが、備前焼をほめる言葉に、とかく、飲み物にまつわる言い伝えが多いのです。 「備前の徳利、酒がうまい」「備前の茶碗、中風にならぬ」 |
作品:山田 薫 備前コーヒーカップ&ソーサー 高7.0 径10.5cm(カップ) |
それに、「備前の水甕、水が腐らぬ」。 これは、備前の素地は外の空気を取り入れて呼吸するため、甕の水が廻流して澱まないから、とか。 さて、とある備前焼フリークの方が実験をしたそうです。 緋襷、窯変、ごく一般的な備前焼。 これらに同じ水道水を入れて一晩置き、翌朝飲み比べたら・・・・。 正解は、窯変です。皆さんもこんな「おいしい水」で、コーヒータイムはいかがでしょうか。 |