インターネット版 No.38 全2ページ 1 | 2|

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第40回記念 朝日陶芸展受賞作品より

ASAHI CERAMIC ART EXHIBITION
登竜門としての役割と刺激
1963年に第1回展が開催された公募展・朝日陶芸展が、40回展を迎えました。
今回の受賞作を見ながら、その足跡を振り返ります。

 

金正逸
「かなたへと向かっていくかたち−U」
高25.0 径57.0p(前)
第40回記念特別賞


 老舗の公募展として知られる朝日陶芸展は、その前身を現代日本陶芸展といい、日展や日本伝統工芸展など団体展しかなかった頃から、一般公募をしていた展覧会です。 当時から、所属やジャンルなどに関わりなく門戸を広げ、幅広い層からの作品応募があったといいます。
 権威に依らず、新人の登竜門としてのイメージは、その頃から、少しずつ醸成されていったのでしょう。 現在でも、グランプリ受賞者の顔ぶれを見ると、ベテランが取ることはまずないといっていいほど。 ところが今回(40回展)の応募者の年齢層はというと、20〜30歳代が過半を占めるものの、キャリアを積んだ50歳代の応募が4分の1(134人)もあります。 力試しとか緊張感の持続など、応募の目的は多様でしょうが、ちょっと意外です。 しかしこんな傾向を示すのは、ベテラン作陶家らの間でも、同展が評価されているからこそのことです。
 加藤清之、鈴木五郎、また鈴木藏、栗木達介各氏らが、ここでの受賞を皮切りに飛躍していったのは、紛れもない事実です。 長く登竜門としての役割を、果たしてきたに違いありません。
 さて、今回の入賞者の平均年齢は37歳。 全体的には、陶という素材そのものの魅力や、固有の特性を表現した造形的な作が多く見受けられます。 陶芸の現代性や素材を意識した作品であることが、まずは入賞の条件といえます。 またそれだから、刺激的な公募展としての使命が果たせているように感じました。

多賀井正夫「黒釉青彩鉢」
高13.0 径55.5p
特別賞(川崎記念賞) 

池田八栄子「Yellow VesselU」
高26.0 径92.0p(全体のサイズ)
秀作賞



泉田之也「溝(こう)」
高20.0 径90.0p
グランプリ



40回を迎えた朝日陶芸展
110点の作品が一堂に展示

 昨年、名古屋会場から巡回がはじまり、最後はやきものの故郷・益子町へと巡回し、40回展はいよいよ閉幕となります。 関東地方在住の皆さんは、作品鑑賞するラストチャンスです。
 今回、659点の応募作から選ばれた入賞・入選作は110点。 総合的な公募展としては、器作品が少ないのはやや残念ですが、それでも現代陶芸の諸相がコンパクトにまとまっていて、俯瞰することができます。 陶産地に物心両面で依存しない作品作りもそのひとつで、とくに本展に顕著な傾向といえます。
 刺激的で、今日的な作品に出合える必見の展覧会です。
東京展会場(目黒区美術館)の手で触れて鑑賞できる展示室にて。
会期●6月28日(土)〜8月3日(日)
会場●栃木県・益子町 陶芸メッセ・益子
電話●0285-72-7555




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