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笠間焼 (かさまやき) 
  笠間は、東京からもっとも近い陶産地です。 それにしては「笠間焼」の知名度はイマイチでした。 近隣に“世界のマシコ”があったこともありますが、百数十軒ある窯元のうち約半数が個人活動をする陶芸家だというのが、その大きな理由でしょう。 集団よりも、個を尊重する自由な気風が、笠間らしさです。
 その笠間が、このところ光ってます! 文化都市笠間をスローガンに、数年に渡って整備が進められてきた「笠間芸術の森公園」、その中核施設だった「茨城県陶芸美術館」がオープンし、大規模な企画展が次々と開かれています。 そのラインナップも、地域にこだわらない全国スケールのもの。 たとえば最近では、西日本の作家を中心とした「現代陶芸の華」展が人気を呼びました。 これは、関東在住のやきものファン注目の朗報です。
 陶芸施設が充実した笠間、やきもの巡りは、今が旬かもしれません。 それに、おススメは芸術の森だけじゃありません。 笠間には鎌倉から移築した魯山人の住居兼アトリエがあり、広大な庭園とともに見学が可能です。 とくに、魯山人作の織部陶板が貼られた風呂場が必見。 「これが魯山人好みかぁ」と妙に説得力あり、です。
 旅のシーズン、未知の作家にも会える個性派産地・笠間に、出かけませんか?

公園内に建つ笠間工芸の丘では作陶体験も。
 

歴史ある笠間焼。 窯元の風情も
残っています。

写真協力:茨城県観光協会東京観光案内所






「刻々の炎」
八木一夫 著
  






 現代の作陶家らに、いつも憧れをもって語られる「八木一夫」という名前。 造形的陶芸のパイオニアとして「走泥社」を率い、戦後陶芸史に名を残す天才です。 その作品は没後24年を経た今でもまったく色あせず、この作家を越えるのは、ある意味、不可能・・・? とさえ思わせます。
 本書は、八木一夫が急逝した年(1979年)の翌々年に編まれたエッセイ集です。 生前、新聞、雑誌、書籍に書いたり語ったりしたもの、対談、さらに私的なメモなどを集め、創作のこと、知己の人物など、テーマ別に八章に分け所収しています。
 その魅力はまず、キラキラ輝く、豊かな文才にあります。 司馬遼太郎はかつて、「若いころの八木に、私はつよく文学者を感じ、八木がいるかぎりうかつに小説など書けないと思ったことがある」と書きました。 確かに、遺された一連の八木作品の、命名の秀逸さに、その文学的片鱗がはっきりとうかがえます。
 『わては茶碗やでっせ』と、周囲をケムに巻いていたという八木一夫。 その独特の言い回しも面白く、引き込まれて読むうちに、詩的で思索にあふれる言葉が、心の深みに響いてきます。
 そして、忘れてならないのが装幀です。 八木が執着した「黒陶」を思わせる黒い函。 それに収まったクロス貼の本書には、美しい活版の字が並びます。
 陶芸における名著として、必ず、知っておきたい一冊です。

発行 駸々堂出版
    1981年刊





−−初心者が茶碗を鑑賞する際には、はじめに茶碗総体を捉えて見るのが肝心で、また、そういう習慣を身につけるようにと、前号では教えていただきました。
 そして、いよいよ高台を拝見するのですが、その場合の基本や、また、どういう点をとくに留意して見ればよいのでしょうか?

 安藤●茶碗でも、全体を拝見して、大体なにか、たとえば井戸茶碗や熊川(こもがい)茶碗だということが分かりますが、それらが韓国で作られたものか、または、日本でそのように作られたのかは、土によらなければ判明しません。
 高台を拝見するのは、茶碗の出生、すなわち焼かれた土地を知ることが、主なわけです。 土によって作られた窯が分かるからです。

−−なるほど。高台を見ることには、茶碗の戸籍調べのような意味があったのですね。 でもそれは、知識や経験がなければ難しそうです・・・。

 安藤●ズブ掛けでも、高台の畳付の何カ所かには、焼成上の条件から土が見えています。
 やきものは土によってまず、どこの産地のものかが分かるわけです。 したがって、それぞれの土の特徴をよく教えてもらい、しっかりと覚えることが肝要です。 また、高台を拝見するのは、土を見極めることが第一の目的ではありますが、しかし、それだけでもありませんからね。

−−はい。 土の種類以外にも、その茶碗の特徴が顕著に表れ、窯場を判別するための、有力な手掛かりとなるようなポイントはありますか?
 
 安藤●そうですね。 土を観察するのと同時に、高台の取り方や、高台脇の具合などが分かるわけです。
 そしてまた、高台廻りにしても、その茶碗を見極めるための、手掛かりがあります。 これはとくに、高麗茶碗では不可欠なことといえましょう。

−−やはり、茶碗の高台やその周辺を拝見する行為は、単なる形式的なものではなく、実質が伴っていなければなりませんね。 そういうことがよく分かりました。

(構成・編集部)





目にも旨い!男の簡単 Cooking (32)
揚げナスの和風マリネ
ナスって、揚げるとどうしてこんなに柔らかいんでしょう。季節の柑橘類が香る甘酸っぱいタレを含ませれば、アツアツよし、冷めてまたよし。紫に、器も映える一品です。 


作品:関 千恵子 径21.0cm
◆材料(4人分)
ナス:6本、 赤ピーマン:1個半、 ネギ(白い部分):10cm
タレ (しょうゆ:大さじ4、 砂糖:大さじ1、 酒:大さじ1、
だいだいの絞り汁:1/2個分
       
◆作り方
@ ナスは切ったら水にさらす。 ピーマンは細切り、ネギは白髪ネギに切る。
A タレを合わせる。 旬の柑橘を加え、香りと甘みをプラスするのがコツ!
B ナスを揚げて、油をきる。 赤ピーマンは揚げ油に通すくらいでOK。
C Bにタレをからめて器に盛り、白髪ネギをトッピング。 冷めても美味!
  



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