インターネット版 No.19  全2ページ 1 | 2

1 ・現代陶芸の旗手達 (2)
2 ・器で愉しむお茶時間 18 ・・・ 湯呑と銘々皿
・使ってみたい!!釉薬 31 ・・・ 掛け胡麻用天然木灰釉(九炉土特製)

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 「現代陶芸の旗手達」において紹介する作家は、制作の本拠・所属団体・作風など異なるものであるが、現代日本の陶芸界において第一線で活躍し、少しも停滞することなく新たな創造を目指し鎬を削っているものたちである。 勿論この他に陶芸界の長老とみなされている傑出した作家も幾人かはいるが、ここでは大家は除き、今最も脂ののりきった充実した活動の時期にあり、今後の陶芸界の担い手となるべき新鋭・中堅陶工たちに限定する。
 収録内容は、近作を中心とした代表作品・プロフィール・取り扱いギャラリーなどで、解説は作家の人と作品を論じたものとした。
 また、紹介作家は、現代日本の陶芸界を代表するもので、陶芸家のステータスシンボライズエンサイクロペディア「現代陶人名鑑」に収録保存し、陶芸ユーザーのニーズに応えるものとする。



中国
・備前焼
斉藤 隆 Takashi Saito
1948年5月生
〒701-4261 岡山県邑久郡長船町飯井2173-1
TEL. 0869-26-4957
「手付土瓶花器」
(岡山・明日香画廊個展パンフレットより)
「四方壺」
(東京・新宿三越個展パンフレットより)
「芋徳利」 「窯変三角徳利」
Profile
1948年 東京に生まれる。
73年 中央大学卒業。
78年 茨城県立笠間窯業指導所修了。
同年より備前の伊勢崎淳に師事。
82年 一水会展入選。
83年 朝日陶芸展、日本工芸会東中国支部展などに入選。
87年 独立し、初窯を出す。
88年 長三賞展入選。
89年 岡山県美術展奨励賞受賞。
一水会展一水会賞受賞。
91年 焼き締陶陶芸展入選。
92年 陶心会展NHK岡山放送局長賞受賞。
●主な制作技法
面取、石目
●胎土の種類
備前土(ひよせ)、山土
●主に使用する窯の種類
備前登窯
●師
伊勢崎淳
●所属団体
備前焼陶友会、陶心会
●工房見学
備前土の表情を究めるためにある形
 東京に生まれ、やきものとは無縁の環境に育った斉藤隆氏は、備前でいうところの「外様」です。 友人を訪ねて備前にやって来た時は、ほんの3、4年の滞在のつもりだったそうですが、ついにそのまま住むことになってしまいました。 備前の土は、それほど奥の深いものだったからだそうです。
 斉藤氏の作る備前土を用いた焼締め陶は、いわゆる備前焼の伝統様式に則った形ばかりではありません。 幾何学的な、あるいは有機的なフォルムの作品も多く、自在に作られているのが特徴です。 それらの形はすべて備前の土の生理や、その土の持つ表情をもっとも端的に、あるいは、美しく表すことを念頭に作られているのです。 そうして固定観念的な形から解放されて、その土の表情を究めるためにこそある形が、結果として斉藤氏の求める作品に重なり合っています。 それは作者自らの「備前焼」を探す創作でもあり、だからこそ備前の伝統ではなく、焼締め陶という大きな歴史のなかに位置づけられるのが相応しいように思えるのです。
■作品扱いギャラリー
◎渋谷黒田陶苑/TEL.03-3499-3225
東京都渋谷区渋谷1-16-14
◎岡山陶芸センターあさくら/TEL.0862-33-2370
岡山市駅前町1-3-4
◎ギャラリーしょうざん/TEL.0869-66-7000
備前市香登本599
の目
 人数の把握すら困難なほど作家の多い備前焼の中でも一際目立つ作品。そこには独特なフォルムと焼成技術がある。嫌味の無い範囲でオリジナリティーを追求している様子が伺え、好感の持てるものとなっている。




関東
・釉焼
峯岸 勢晃 Seiko Minegishi
1952年1月生
〒329-3215 栃木県那須郡那須町寺子乙2374-24
TEL. 0287-72-1380
  「米色瓷香炉」
左「米色瓷盃」 13,000円

中「米色瓷鎬手徳利」 25,000円

右「翠青瓷盃」 13,000円
Profile
1952年 埼玉県に生まれる。
東京工業大学付属工業高等学校卒業。
71年 長野県小布施にて陶芸の修行をはじめる。
続いて茨城県笠間、栃木県益子でも修行。
74年 埼玉県三郷市に築窯。
93年 栃木県・那須町に工房を移転、築窯。
94年 この年より、伝統工芸新作展に連続入選。
96年 日本伝統工芸展に入選。
97年 日本陶芸展入選。
98年 北関東陶芸展にて毎日奨励賞受賞。
●主な作品のテーマ
二重貫入と釉調を活かした様々な形と手法の追求
●主な制作技法
ロクロ成形ののち、鎬手、面取、瓜形などの手法を用いる
●胎土の種類
陶器
●主に使用する窯の種類
灯油窯、電気窯
●所属団体
日本工芸会
●工房見学
Message
個展は公募展とはまたイメージの違う作品も多く、意欲的な新作の発表の場と考えています。ぜひ一度、ご覧下さい。
釉調ばかりでなく造形的にも評価される青瓷
 峯岸勢晃氏の陶芸家としてのデビューは、粉引を中心にした三島、刷毛目といった作品からはじまりました。 人柄そのままに清潔感あふれたそれらの作品群は、多くのファンを魅了しました。 ところが突然、1988年の個展から青瓷を発表しだして周囲をアッと驚かせたのです。 今日では窯業技術が発達したために、かつてほどではないにせよ、しかしいまだに「青磁をやると身代を潰す」といわれています。
 青瓷を早々と安定させ、やがて米色瓷に埋没するのに、そう時間はかかりませんでした。 その頃、苦しい研鑽の日々のなかにもひと窯ごとに成果が表れ、もの作りとしての充実感も多々味わったようです。 ほどなく、日本伝統工芸展や日本陶芸展などの公募展で連続入選を果たしたのも、これら青瓷作品からでした。 とかく釉の調合だけで精根尽き果てる青磁作家が多いなか、峯岸氏の作品は巧みな造形性でも評価が高いのが特徴です。
■作品扱いギャラリー
◎日本橋三越本店/TEL.03-3241-3311
東京都中央区日本橋室町1-4-1
◎現代工芸藤野屋/TEL.0283-23-0700
佐野市浅沼町859
◎益子つかもと作家館/TEL.0285-72-6634
栃木県芳賀郡益子町益子4264
◎赤坂游ギャラリー/TEL.03-3584-0045
東京都港区赤坂4-1-31 アカネビル
の目
 幾重にも重なる亀甲は釉薬が織り成す醍醐味といえる。日常の器として使うには憚るほどの美であるゆえ、巧みな造形力を活かした幅のある作品に期待をかけずにいられないのは大方の気持ちではないだろうか。



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