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◎安定感ある応募作
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彫刻、形、文字、絵付の各部門のなかで、それぞれ最も優れた作品が、グランプリ候補作品として大賞に選ばれます。 つまり大賞作品のなかに、とくに傑出した作品がある場合、その作品がグランプリに選定されます。 じつは今年度は、彫刻部門の大賞候補が二作品あり、一般投票でも各審査員の判断でも評価が二分されていて、最後の最後まで競り合いが続きました。 それで一時、本年度の彫刻大賞は二作品同時受賞へと傾きかけましたが、最終的には山上和子さんの「天馬座禅す」が大賞に、金子陽子さんの「若駒」を審査員特別賞にシフトすることで、意見がまとまりました。 金子さんの作品が特別賞に決まった理由は、大賞作品との優劣では決してなく、「ムダを省き、削ぎ取る難しさ」を克服した作品だからでした。 つまりそれは、彫刻部門だけに限られた制作姿勢ではなく、どの部門にも共通した作品制作の根本と判断され、特別賞受賞の栄誉につながりました。 ですから今回に限って、彫刻大賞と審査員特別賞ではほとんど差はなく、ともに秀でた作品が選定されました。 続いて形、文字部門の大賞と順次決まっていきましたが、絵付部門の入選作だけは、なかなか大賞に相応しい候補を絞り込めませんでした。 そこで苦渋の決断でしたが、残念ながら、本年度絵付部門の大賞該当作は「なし」となりました。 |
馬という統一テーマのもと、ユニークで多様な馬々が日本各地から集まってきました。 今年度からは「九炉土展」会場(東京・新宿センタービル)に、全入選作が誇らしく展示されました。 |
あと一歩、大賞には惜しくもおよばない作品が、オリジナル賞です。 もうひと工夫さえあれば、どれも大きな賞が狙える実力のある作品ばかりです。 こうして今年度の受賞、入選作品を見ていくと、作品の質が高く、技術的にも安定していることに気がつきます。 そしてなにより、作者がとくに訴えたかったテーマが、はっきりと伝わってくる作品が多くあります。 このことは、今回から採用された一般人気投票の結果にも、少なからず表れています。 「かといって、受賞作品は人気投票の票数だけで決まるのではありませんよ。 いいものはいいのですから。 それは、本質的にいつも変わりません」 岡本立世審査委員長は、単に大衆迎合的な作品に陥らないように注意を促しながら、次回テーマ「羊」の応募作に、熱い期待を寄せていました。 |
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瀬戸焼 | |||||
瀬戸(愛知)といえば、「瀬戸焼」よりも「セトモノ」の方が私たちには耳馴れた言葉です。 なにしろ国立国語学研究所の調査によれば、「セトモノ」は、東日本を中心に全国の約六割の地域でやきもの(陶磁器製品)を指す代名詞として使われているのだそうです。 ちなみに、残りの三割は「カラツモノ」、一割が他の呼称を使っています。 つまり、それほどに瀬戸産のやきものが全国を席巻したということ。 日本初の施釉陶を焼いた猿投(さなげ)窯にルーツを持つ瀬戸焼は六古窯の中でも抜きんでた技術力を持ち、古くからやきもの先進地だったのです。 今回は、そんな歴史の証人として残る伝統的な窯をズーム・アップ。 市の文化財に指定されている「本業(ほんぎょう)窯」は、すり鉢なら一万個といわれる江戸期の巨大登窯です。 ところで、この「本業」という言葉、江戸享和年間に始まった磁器生産を新製(焼)というのに対し、元々の陶器の仕事を指すのだそうです。 今では染付磁器のイメージが圧倒的な瀬戸焼ですが、本業=陶器とは何だか意外で、興を惹きます。 一千年の歴史を持つ瀬戸は、ポピュラーでいて未知数。 そんな、不思議な魅力ある産地です。 写真協力:瀬戸市産業観光課 |
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