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−−昨今では、コミュニケーションをとるのが苦手で、勢い自己中心的な若者が多くなっている、といわれます。 そうすると、ますます不作法な世の中になっていくような気がして仕方ありません。

安藤●そのために、私たちの毎日の生活のなかで身につける礼儀作法、いわゆる「躾」が大切になってくるのですよ。
 かつての日本人は、本来の意味は分かっていなかったのかも知れませんが、ある程度のところまでは、当然のように躾ができていました。
 また、時代がどんなに変わったとしても、普段からの礼儀作法がやはり必要だと思います。 それさえできていれば、いつでも、どこにでも胸を張って出かけていけるのです。

−−そうして自信がつけば、人間関係を否定したり、また、自分のなかに閉じこもる若者も減るかも知れませんね。

安藤●ですが、複雑な事情もあります。昔の日本人からすると、私を含めて現代の日本人は、皆外国人に見えるほどでしょう。 例えば、ズボンに靴を履いて歩いていますし、あらゆる点で生活様式が急速に西洋化しましたから。
 もし着物に袂があれば、必然的におしとやかな動作になります。 男性は活発ですから袴を履かせたり、襷(たすき)をかけさせて動作に制約を負わせていました。 また、履き物には鼻緒がついていますから、体が前に向かう姿勢となり、反っくり返って歩くことができにくかったのです。
 そのように、かつては根本的に人間の体に合った、自然な動きをさせるための服装を採用していました。

−−なるほど。 だからお茶のお稽古の折には、和服を着てするのですね。

安藤●ところが注意しなければならないのは、今はあまりにも躾ができていませんから、礼儀作法をつい形式と捉えてしまったり、また、特殊な世界でのことと思ってしまいがちなのです。
 大げさなことでなく、普段の生活のなかで、人としての恥じらいを身につけることが、躾の基本ではないでしょうか。                                    
 (構成・編集部)





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