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(15)  角鉢茶碗
気のおけない友人同士の茶会なら、もちろん堅苦しさはご法度。それでも器やお菓子の取り合わせを考えるうち、何だか、日本通になった気分です。
  

 お茶にお菓子はつきものです。 とくに、甘い和菓子は後に飲む抹茶をいっそう引き立てます。 茶席では器の見立てと同じくらい、茶菓子の取り合わせが、実は、楽しみな趣向なのです。
 そこで、自作の器で茶会を開くなら、どんな茶菓子を選びますか・・・。 今回は、そのヒントをちょっとだけご紹介します。
 一般の茶会では、とりわけ季節感を重んじるようです。 たとえば弥生三月には蓬餅、わらび餅など、草木が萌える自然をモチーフにしたお菓子。 水無月(六月)には雨や紫陽花を題材に、器も涼しげに演出します。
 器や菓子は確かに脇役。 けれど有職故実など日本的教養が織り込まれた、奥深い世界でもあるのです。

作品:神谷久美子/角鉢 高5.0 径21.0cm
作品:吉田知司/茶碗 高8.0 径13.5cm

お菓子:栗織部(築地・茂助だんご)
 さて、ここでは吉田知司さんの茶碗に薄茶、神谷久美子さんの貫入薩摩の縁高に栗饅頭を盛ってみました。 時は神無月(十月)。 実りの季節の喜びを、中の栗に託したつもりです。 ――こうして様式美に遊ぶうち、器使いの楽しみが、もっと広がってきそうです。



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