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材料は地元で、作業は手仕事、共同がポリシー

粘土は一軒の家が無くなれば共同で掘る。鉄分の多い地元の山土、2t車で3台、年2回程度。

土造りは女の仕事
※唐臼は全体で50基、一軒で4〜5台の窯元も有る。
10日程乾燥させ、唐臼(からうす)で1ヶ月打つ。朝・昼・晩と3度土を引っ繰り返す。
※長石釉の原料も打つ。
唐臼でつき上げた粘土は水槽に入れ、撹拌、ゴミや砂を取り除き、沈澱した泥土で水槽がいっぱいになるまで繰り返す。
この作業を水簸(すいひ)といい、粒子の揃った良質な粘土を精製する。

次に「おろ」と呼ばれる水抜台に泥を移し、手ですくえる位になるまで水分を下に浸透させていく。
さらに乾燥窯へと粘土を移し、成形に適した硬さになるまで放置する。

※この間約1ヶ月、一窯分の土を造るには2ヶ月を要す。
日常のあり方そのものが貴重な存在、恵まれた自然の中で、ゆっくりと動き続け、不思議な音を響かせながら土を造る。 小鹿田焼にとって唐臼は、永い歴史と伝統を守る、悠久の時空。



小鹿田では、釉がけは女の仕事である。
大きな鉢も手首をひねり、柄杓で一気に掛ける。
※小鹿田は小物以外は素焼をしない為、浸し掛けは行わない。
一間(6尺)もある桟板(作品を乗せる板)に、いっぱいの作品を乗せ棚へと持ち上げる、実にたくましい光景。
皿や鉢の窯詰は、8枚ほど重ね焼きにするため、見込の高台が当たる部分の釉薬は剥がしている。



小鹿田焼は、釉がけも窯詰・窯焚も自然に合わせ、また、庶民の陶器である位置付けを守るため、合理的に行われる。
手前に見えているのが素焼窯、但し、素焼を行うのは小品のみ、土の性質上、大物は行わない。
燃料は廃材や2年間寝かせた杉を用いる、いずれも地元で調達。
本焼は、個人窯(4室)では35〜6時間、1250℃〜1300℃で、年5回行う。
初窯は3月、5月、8月、10月と正月前に行う。
還元焼成は、土の性質上割れやすいため薪を用いた酸化焼成をする。
※窯焚の灰は、釉薬の木灰として使用する。
どの窯元も店舗を構え、一様に小鹿田焼を象徴する作品が並べられている。



さらに足を進めた山の上には、「日田市立小鹿田焼陶芸館」が有り、誰でも自由に小鹿田焼の歴史に触れることができる。
「電気を点けて自由にご覧下さい」と記されている。
館内にずらりと並ぶ小鹿田焼の歴史、由来なども掲示されているので小鹿田焼を深く知ることができる。
バーナード・リーチの作品も無造作に置かれている。びっくり!!



小鹿田焼同業組合 窯元一覧 <国重要無形文化保持団体>
坂本義孝窯
0973-29-2449
坂本正美窯
0973-29-2405
黒木史人窯
0973-29-2429
黒木孝子窯
0973-29-2402
黒木富雄窯
0973-29-2403
坂本 工窯
0973-29-2404
坂本一雄窯
0973-29-2467
柳瀬晴夫窯
0973-29-2469
柳瀬朝夫窯
0973-29-2440
小袋定雄窯
0973-29-2400


取材:2009年
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