インターネット版 No.105
昭和2年、長野県に生まれた松井康成は、30歳で茨城県笠間市にある月崇寺(げっそうじ)の住職となり、中国や日本の古陶磁研究ののち、練上の技法に絞って試行錯誤を重ね、独自の表現世界を創造しました。 | |
種類の異なる土の組み合わせは、収縮率などの違いから破損しやすいため、基本となる土を同じものとし、そこに少量でも鮮やかに発色する呈色剤を混ぜる「同根異色」の方法により、練上による表現の可能性を格段に拡げました。
その功績によって、88年(昭和63年)紫綬褒章を受章、93年(平成5年)には昭和生まれの陶芸家として初めて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。 |
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「萃瓷練上大壺(華華)」 (1983年 34.0×40.0cm) |
本展は、線文様に代表される初期の練上作品に始まり、ロクロで内側から膨らませ表面に亀裂を誘う「嘯裂(しょうれつ)」から、磁器に近い土の組成と硬質な輝きを特徴とする晩年の「玻璃光(はりこう)」に至るまで、多彩な展開を示した松井康成の壮大な芸術世界を代表作約100点により紹介する展覧会です。 | |
「練上嘯裂文大壺(シルクロード)」 (1981年 27.5×33.0cm) |
「練上地象裂文壺(追憶)」 (1980年 26.7×34.3cm) 笠間稲荷美術館蔵 |
「練上風白地大壺(ロプノール)」 (1987年 41.6×38.8cm) 茨城県陶芸美術館蔵 |