インターネット版 No.104

目次
<ルポ>陶房九炉土 第32回 作陶展 in 銀座
【特別企画】九炉土展×銀座和菓子



 「和のこころ」をテーマに、個性豊かな200余点が集結
 11月末、恒例の九炉土展が開催されました。
 第32回を迎える今展のテーマは「和のこころ」。日本人の精神ともいえるテーマのもと、九炉土らしい独創的な作品が勢揃いしました。
 1階エントランスの展示は銀座会場の見所の一つ。毎年多彩なディスプレイで銀座通りに賑わいを添えています。アプローチでは、大きな桜の花びら、そして、イッチンなどを施した、たくさんの一輪挿しがお出迎えです。
 奥に飾られた、金屏風に映えるユニークで愛らしい小さな扇子や団扇が2階会場へと誘ってくれます。
岡本 立世  『 展望と野望 』
  
 今作のタイトルは『展望と野望』。幾重にも重ねられ、高くそびえる“tenbo(展望)”、そして光を放ち、太く伸びる“yabo(野望)”は、力強いエネルギーを放ち、観る者に迫ります。二つの“望”を支えるのは内部から押し出されたかのように豊かに膨らんだ球体。岡本立世氏のトレードマークともいえる文様が刻まれています。 既成の枠を超える造形とそれに反するような繊細な装飾は岡本氏の真骨頂。今作もまさにそのような相反する特徴を併せ持つ作品となりました。斬新な発想の造形を完成させる技術の高さには、毎年のことながら圧倒されてしまいます。
 
長谷川 園恵
 (左)『 静かな重なり 』   (右)『 灯の基地 』
 
松野 美紀
 (左)『 むくむく 』   (右)『 ままごとお茶セット〈白水玉〉 』
 
中川 篤史
 (左)『 籠花入 』   (右)『 撫四方内蓋付鍋 』

 ハイレベルな作品群によって生み出される制作へのモチベーション
 総勢200点以上の作品が並ぶ会場には平日の午後にも関わらず多くの人が訪れ、終始賑やかな空気に包まれていました。力作揃いの大型作品のほか普段使いの器やアクセサリーも多数並び、気に入った作品を手にとってじっくり吟味される方もいらっしゃいました。






それぞれの作品は全く異なるテイストでありながら、
思い思いの「和のこころ」で統一され、一体感のある
会場の様子。



 多彩な技法の競演ともいえる九炉土一門の陶芸家60名の新作を前にすると、九炉土展に展示されることが制作へのモチベーションに繋がり、互いの技術向上へと繋がっていくのだと、改めて実感させられます。

『金箔熨斗目四方皿』
大久保 尚代


『手付きあやめ文様花入』
大谷 楠世


『刷毛目掛花入』
足立 尚子


『花器』
後藤 恵子

『花瓶』
日比野 喜代子


『和紙染飾壺』
田中 佐代子


『世代交代』
小山 春子


『掛花入』
三浦 敦子

『松葉文壺』
水野 文子


『花瓶』
佐藤 等


『壁掛(B) −サクラ・サクラ−』
菰池 眞佐子


『瓢箪皿』
岡部 光枝
『織部千鳥香合』
河野 理子
『ほのか』
田中 光雄
『手まり蓋物』
高橋 修子
  
 九炉土展の盒子は毎年秀作揃い。
 取材中も『巳の香合』の前で「とっても気に入ってしまった」と早速予約されるお客さまも。
『巳の香合』
長田 恵子
『柘榴文様香合』
近藤 正子
   

『秋色の木の葉』
山本 玲子


『椿小鉢』
出町 裕子


『伊賀水指』
小林 成江


『蔵』
中野 敏子


『黄瀬戸 食籠』
林 順子

『野でひろった』
深川 紗智


『くつろぎ』
田中 光雄


『響』
片山 百合子


『急須』
羽路 嘉代子


『FB-WK1』
畑野 伸一郎

『葡萄文長皿』
津上 喜久恵


『柳紋掛花入』
福永 千草


『ひねくれ者』
菅原 恵美


『ひょうたん鉢』
後藤 恵子


『板皿』
新井 泉
会  期


会  場


アクセス
2012年11月20日(火)〜11月25日(日)
午前11時〜午後6時 ※最終日のみ午後4時閉場

銀座 藤屋画廊
東京都中央区銀座 2-6-5 藤屋ビル2F(銀座通り)

地下鉄「銀座駅」 徒歩3分
有楽町線「銀座一丁目駅」 8番出口すぐ