インターネット版 No.43 全2ページ 1 | 2 

1 ・第23回 「陶房九炉土会員作陶展」より ・・・ 「おもてなしの器」を考える
2 ・特選 京焼・清水焼ツアー参加者受付中!
・映画 「HAZAN」封切り

1/2ページ

「おもてなし器」を考える
第23回陶房九炉土会員作陶展より
  
「ふるまう」意味での「もてなす」という言葉は、源氏物語に「・・・ときどきはればれしう持て成しておはしませ」とあり、古くから使われていたことが分かります。 では友を歓待し、大切な人と楽しむための、現代の「おもてなしの器」とはどんなものなのか、考えてみたいと思います。


前中=友との語らい、和のお茶セット。
後中=ミニ懐石でのおもてなし。
左=光によって心からのおもてなしの気持ちが表現されています。
前左=蝋燭の灯りのなかでゆったりと。
前右=ランプシェードで今宵のおもてなし。
後左=午後のティーセット。 後右=ワインで仲間と乾杯!


前左=路地行灯に導かれ。 
前右=お茶を一服、一期一会のおもてなし。
後左=古き良き友と酒と料理で。
後右=パスタにサラダ・・・、食卓を賑わす多用鉢で。
前左=サラダでおもてなし。 前右=急須湯呑揃での喫茶去。
後左=ようこそ!うさぎ小屋へ!(兎を飼う私の部屋への意)
後右=日本酒で楽しく酔いたい気分。



芸術的な到達点示す
 昨今、趣味の陶芸家人口の増加が、「ブーム」という言葉で語られなくなったのは、作陶がより身近になり、人々の間にすっかり定着したからでしょう。
 とはいっても一方で、作陶は創作であるため、その真の妙味を知る愛好者は、残念ながらまだそう多くはないとも思えます。
 この創造的な趣味・陶芸の核心部を、先頃開催された「陶房九炉土会員作陶展」の出品作のなかに、強く感じました。
 その会場内には、出品者の皆さんがそれぞれイメージした「おもてなしの器」(今回展の統一テーマ)が、所狭しと並べられていました・・・・。
 そこでまず感じられたのは、もてなしの器をイメージする場合、誰と、どんなシチュエーションで使うかによって、「器」といえども、実に様々なものに多彩に変化していくということです。 その様子を、作品に添えられた作者自身の各々言葉から、いくつかご紹介しましょう。

 たとえば「友人と」「家族と」「夫婦で」、またはお世話になった恩師、さらに愛する人など「大切な人々」や「故郷の旧友」をおもてなししたいと思います、などと書かれています。
 そして、それはどんな状況でかといえば「誕生日」や「晴れの日」の「ホームパーティー」で、「向かい合って共に楽しく」語らいたい、とあります。 また別の日の「昼下がりに」は「心よりのお迎えを」して、「テラスで」「ゆったりと」「静かなひととき」を過ごしたいと思うことも・・・・などです。 これら様々な言葉からは、どの作者にも、作る前から、創造の目的をはっきりと意識し、自覚できていることが窺えます。
 いうまでもなく、創作の原点とは、なにを、誰のために、どのように表現するかにあります。 つまりコンセプトの有無こそが、芸術的作品か否かを隔てることになるのは、自明のことです。
 そしてなにより、本展会場の豊かで個性的な出品作には、創作の目的がテーマに沿ってしっかりと、事前に考えられています。 しかも、それを表現するに足るだけの技術が伴っているからこそ、鑑賞者にも強く訴えることができるのだと感じました。

 今年の「陶房九炉土会員作陶展」会場では、趣味の陶芸の、ひとつの芸術的到達点を見たように思えたのです。   ■



 創作の目的が際立つ展覧会
  第23回陶房九炉土会員作陶展

連日の賑わいとなる「第23回陶房九炉土会員作陶展」の会場。 
 昨秋、恒例の「陶房九炉土会員作陶展」が開催されました。
 会場となった新宿センタービル51階の朝日生命ギャラリーには、会員の皆さんの力作・秀作がぎっしりと並べられていて、圧倒されます。 観覧者も連日、引きも切らずに訪れ、作品に熱い視線を注いでいました。
 それぞれの出品作は「おもてなしの器」というテーマに沿って、思い思いの設定で作られています。 どんな状況を想定しているかは、一目瞭然。 創作の目的が踏まえて作られ、なにより作者自身が楽しんで作っているのが伝わる心地よい展覧でした。 



1ページ | 2ページ
tougeizanmai.com / バックナンバー