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◆狸と雑器の街歩き | |||
滋賀県・信楽町一帯は、日本六古窯のひとつとして知られ、天平時代を起源とし、13世紀後半から現在まで、長いやきものの歴史を持つ陶産地です。 本来の信楽焼のイメージはといえば、ザックリとした土肌に明るい緋色が出た壺などの焼締め陶でしょう。 そして信楽の名をより広く世に行き渡らせる大役を果たしたのが、「狸」です。 今回の旅は、それらをキーポイントに置きながら、のんびりと信楽の街をやきもの散歩してみましょう。 |
◆全国デビューの契機は? |
滋賀県・信楽町へは、JR草津駅からなら、貴生川を経由して1時間ほど。 終点の信楽駅に着くと、すでにあちこちに陶製の狸が目につき、やきものの街にやってきたことを実感します。 人の数よりも多いといわれる信楽焼のこの 「狸」。 一気に全国的に注目されて人気者になったのは、昭和26(1951)年。 昭和天皇が信楽を訪問された際、沿道に並んだ狸たちを見て、歌に詠まれました。 そのことが一斉にマスコミに取り上げられ、信楽狸が大流行するきっかけとなったそうです。 この陶製の狸に象徴されるように、現代の信楽では、古信楽のような焼締めや茶陶ばかりでなく、施釉の器、置物、あるいは大物陶器やタイルなど、ないものがないほど作られています。 さて、そんなやきものの街・信楽を体感するには、「窯元散策路」を歩いてみるのがいいでしょう。 道路に埋め込まれたシンボルタイルに沿って歩けば、道に迷うこともありません。 駅を出発して国道307号を渡ったら、いよいよ散策路のはじまりです。 するとじきに「信楽伝統産業会館」が見えてきます。 ここでは室町、桃山時代の古信楽の名品の数々、江戸時代から明治・大正に至る代表作が展示されています。 伝統の力をじっくりと鑑賞しておきましょう。 |
◆ 信楽伝統産業会館
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◆現代を感じる陶の街 |
散策路の周辺で、一際たくさんの狸が並んでいる窯元は 「ヤマ庄陶器」 と 「宗陶苑」 です。 巨大なものからミニチュアまで、ギッシリ並んでいます。 流行や世相にも、狸は敏感です。 サッカー狸や風水狸、ケータイ狸・・・・といろいろあって見飽きません。 またこれらの窯元には、ガーデンファニチャーやランプシェードなどの照明器具、 火鉢、植木鉢、傘立てにタイルなど、実に多種多様なやきものが並んでいて、信楽のやきものパワーを知ることができます。 |
◆ ヤマ庄陶器
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◆ 宗陶苑
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普段使いにいい器を探すのなら、「蓮月」 と 「大小屋」 がお勧めです。 「蓮月」 には、焼締めや自然釉の信楽らしい食器から、粉引、染付、赤絵などもあります。 信楽の素朴な土味だけにこだわらず、料理が映え、使い勝手のよさを追求した器が並んでいます。 また 「大小屋」 には、モノトーンのスタイリッシュな器や、粉引、灰釉、刷毛目、織部の鉢やカップ、皿、それに土鍋や飯鍋まで見つかります。 ここには陶芸教室も併設されていますから、本場で土ひねりするのも、いつもとは気分が違っていいかもしれませんね。 |
◆ 蓮月窯
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◆ 信楽陶舗 大小屋
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散策を終えたら 「陶芸の森」 にも、ぜひ寄ってみましょう。 取材当日は、「信楽産業展示館」 で 「朝日陶芸展」 を開催中でした。 現代の最先端の、野心的な作品を見ることができました。
また 「陶芸館」 では特別展や常設で、内外の優れた現代陶芸作品を見ることができます。 古信楽の誇りを保ちつつ、しかし現代を受容し、発展・拡散し続ける信楽。 まさに、伝統と現代がクロスオーバーする陶の街が信楽なのです。 |
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◆ 滋賀県立陶芸の森 陶芸館
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◆ 滋賀県立陶芸の森 信楽産業展示館 |
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取材:2008年 | |