わずか2軒の窯元。 同じく洗練された絵付を主役としながら、印象の異なるやきものに仕上げる・・・。 これらの技と成果を間近で見られる楽しみは、まさに渋草ならではのことでしょう。
陶産地としては決して立地に恵まれているとはいえません。 しかし、こうした産地としての個性と、逆境にあっても製品の質を落とそうとはしなかった窯元たちの気概が、高山を訪れる年間250万ともいわれる観光客を魅了し続けているのです。
さて、芳国舎と柳造窯の工房は、ともに繁華街から車で10分ほどのところにあります。 売店のある三町(さんまち)界隈のにぎわいが嘘のように、そこに流れるのはゆったりとしたもの作りの時間。 ろくろ師、絵付師とに分かれた職人さんたちが一線に並び、粛々と丹念に、しかも手際良く仕事を進めていました。 もし見学を希望するなら、それぞれ、前もって問い合わせてみるのがいいでしょう。 100年以上も経つという芳国舎の工房や、絵付場に並んだ戦前からの見本品など、風情を残した鄙びた美しさは胸を打つものがあります。
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高山には、渋草焼の他にも、小糸焼、山田焼などの風土に根ざした窯元があります。
華麗な渋草焼や茶人好みの小糸焼が、城主や郡代の命によって上級武士のために焼かれたのに対し、山田焼は庶民のための雑器を焼き続けてきた素朴な窯元です。 |
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