小久慈焼 (こくじ) | |||
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北国は、暮らしに根ざした質実な器を焼く小さな窯場があります。 小久慈焼もそんな窯のひとつ。 「北根の海女」が住む北三陸の景勝の地、岩手県久慈市がそのふるさとです。 約200年の歴史ある小久慈焼は、初代が相馬の陶工に師事したことに始まるといわれます。 地元産の原料を生かした糠白釉や飴釉が特徴で、周辺の民衆のための雑器を焼いてきました。 そんな小久慈焼の代表選手が「片口」と「すり鉢」ですが、いずれも口元が少し変わっています。 今回は、その口造りにズーム・アップしてみましょう。 まず片口。 丸い碗形に長い注ぎ口が小久慈流で、全体のバランスから見ると少々剽軽な形です。 片口はもともと醤油やどぶろくなど液状のものを別の容器に移しかえるのに使われました。 たしかに口が長いと瓶などに注ぎやすいし、キレもよさそうです。 今ならドレッシング入れや、台所で計量器にしたりと、色々使えそうな愛らしい片口です。 すり鉢は内側にも釉が掛かっているのが特徴で、口がついています。 この口先がおもしろい。 尖っておらず、幅広なのです。 片口にしろすり鉢にしろ、地元ではどんな料理に使われてきたのでしょう・・・・。 いかにも風土が生んだ形という気がします。 飴色やクリーム色をした、こんな素朴なやきものから、北国の気質が伝わってくるようです。 |
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取材:2008年 |