小石原焼 (こいしわらやき) 

 樹齢300年〜500年といわれる行者杉の森。 川沿いには、苔むした玉石垣で仕切られた棚田が並んでいます。 こんな自然の風景に囲まれた、のどかな山間の地が、小石原焼の生地・福岡県朝倉郡小石原村です。
 小石原には現在50余軒もの窯元があり、陶産地の多い九州の中でも、人気の観光スポットといえるでしょう。 その、やきものの特徴といえば、褐釉や、褐釉に白釉やワラ灰釉を流し掛けたもの、さらに飛び鉋や打ち刷毛目の技法を使った、素朴で力強い民窯陶器が有名です。
 とはいえ、小石原内には高取焼を名乗る茶陶の窯が数軒あったりして、はてさて? ちょっと不思議な感じ・・・・。 そこで今回は、その謎にズーム・アップ。

 小石原での製陶の創始は、実は、1665年に高取焼の二代・高取八蔵が茶陶の窯を築いたことに始まるといわれています。 一方、民窯は17世紀後半頃から始まりました。 その後、磁器も伝えられましたが長続きせず、やがて、これらが交流することによって、現在につながる民陶中心の小石原焼が形成されました。 だから高取焼ゆかりの鼓地区には、現在も茶陶の窯が残っているというわけです。
 こんな異なる歴史の息づく小石原。この夏、訪ねてはいかが?

伝統技法の飛び鉋、刷毛目で装飾された小石原焼。小石原には小石原伝統産業会館など体験施設も充実。
写真協力:福岡県東京事務所


5月、10月には民陶むら祭(陶器市)が開催。  
取材:2003年
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