萬古焼 (ばんこやき) 

 萬古焼は三重県四日市のやきものです。 産地のカラーは、さまざまな日用陶磁器を焼く量産の陶業地として知られています。
 たとえば、土鍋は全国シェアのおよそ80%が萬古焼です。 他にも蚊やり豚などユニークなヒット商品がありますが、やはり「萬古焼といえば萬古急須」というくらい、グレーっぽい紫色をしたメタリックな光沢の急須が有名です。 この紫泥急須は常滑産の朱泥急須とともに、日本の、もっともポピュラーな急須。 そこで、今回は萬古急須のルーツにズーム・アップします。
 250年の歴史を持つ萬古焼ですが、紫泥急須の始まりはそれほど古くありません。 明治の中ごろ白土が枯渇して、いわゆる赤萬古急須を作ったのが契機とか。 ただしこれ以前の江戸時代、すでに手びねり感覚の大変精巧な急須が作られていました。
 それは萬古焼中興の祖といわれる森有節(1808〜82)が、煎茶の流行を受けて始めたものでした。 職人肌の有節は提灯作りにヒントを得て急須のための木型を発明。 この型萬古といわれる独特の成型法が瀟洒な急須を生んで一世を風靡、萬古急須の幕開けとなったのです。
 四日市の「ばんこの里会館」では、貴重な木型も展示。 萬古急須の神髄に触れてみませんか。
紫泥の急須と茶器セット。 使うほどに色艶が増し、愛用品になりそうです。

幻想的なコンビナートの夜景は一見の価値有。

写真協力:四日市市商工課
  
取材:2002年
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