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作ってみたい器

 作ってみたい器は次の3つのコンセプトに分け、表現、技法の最も適した内容で解説しております。それぞれ成形、釉薬、釉掛けなどに特徴やポイントがあり、上級レベルの技術習得が出来るもので、使っても楽しい作品となります。是非チャレンジしてみてください。

伝統 伝統をテーマとし、桃山時代を彷彿とさせる表現
オリジナリティ オリジナリティをテーマとし、比類の無い表現・デザイン
トレンド トレンドをテーマとし、今、最も人気の高い器や流行りの陶芸品
オリジナリティ 01.火色舟形長方皿(ひいろふながたちょうほうざら) ・板作り
・焼締
 これは舟形焼締めの作品です。
 まずは板作りで底になるものと縁に貼り付ける板を5mmの厚みで作る。次に底板を目的の大きさに切り落とし、縁に貼り付ける板は底板の上に載せるように貼り付けるのが望ましいので、そのサイズで卍貼りをするように長さを合わせ高さは1cm程度で各2枚ずつ作る。少し乾いたところでキズとドベをしっかりつけ、底板より1mm程度内側になるよう貼り付ける。貼り付けが全部終わったところで、新聞紙の下で器の端いっぱいに1.5cm程度の太さのヒモを枕とし真中を軽く押さえながら写真のような反りをつける。足は裁ち落しを取っておき、半乾きにした後貼り付ける。
 この作品の最大のポイントは釉薬の景色にあるが、ここまでの景色をつける釉薬は市販されていないので手に入る範囲の火色釉、黄イラボ釉、青銅釉を写真のようにマスキングしながら濃淡をつけ吹き掛ける。
作品を味のあるものへと結びつけるには、底板と側面の貼りズレや、ヘラ目などを入れることが有効。釉薬は火色の上の黄イラボ釉のグラデーションと青銅釉のアクセントが重要。
    
伝統 02.結文形朝鮮唐津向付(むすびふみがたちょうせんからつむこうづけ) ・板作り
・唐津
 唐津の土を用い板作りで底と縁に貼り付ける部品を作る。板厚は5mmが適当。大きさは最長を22〜23cmで結びの角度は100〜110度の鈍角とし左右対称となるように切る。縁どりは15mm程度の高さで底の上に貼り付け成形直後布を巻きつけ、こすることで仕上げる。縁板は乾きや焼成によりやや内側へと反ることがあるのでコテを当て平らに整えた後に軽く内側から押し出すように1mm程度の膨らみをつけておく。
 釉掛けでは重なり合う箇所の景色が大切となるため写真のように計量カップ等に入れた釉薬を流し掛けし自然のカーブを作る。まず茶褐色釉を3分の2程掛け次に中程から反対にワラ灰釉を流し掛けする。
この向付は大ぶりの平らなもので、ざんぐりした土で成形され、左右にワラ灰釉と鉄の多いアメ釉系を掛け分け、重なった部分は海鼠状に変化して美しい景色となっている。
    
トレンド 03.タジン鍋(たじんなべ) ・ひも作り
・耐火
 耐火土を用い好みの大きさで本体を作る。この時のポイントは、蓋と本体の密閉にあるので、目的の深さより1cm程度深く作りカットする箇所のみ2cm程度の厚みに仕上げる。弓で水平に切り落とした後写真のようにヒモで別作りした土を載せ縁を作る。次に本体の直径に合わせ蓋の直径を板の上に作り、その上に何段かのヒモを積み上げ円錐状を作り、最後に密閉し、つまみをつける。土鍋のように蒸気を抜くための穴を開けてはいけない。また蓋と本体が密閉されるよう合わさることを確認しておく。
 上薬りは特にこれでなければならないというものはない。本体は底裏を除きすべて施す。内側のみ色を変えるのも一案。蓋は内側に掛け、外側は写真のように掛ければ大きなものも均一できれいな仕上がりとなる。蓋と本体は別焼にする。
タジン鍋は高く突き上がった蓋内部を湯気が循環し、素材を蒸し上げるようにふっくら柔らかくするもの。そのためには蒸気が漏れず、蓋が密閉されることが大切。