成形篇

 様々な形が表現できる素晴らしい成形技法が“ひもづくり”です。
そしてこのひもづくり成形において最も心がけなければならないのが、ひもとひもとをしっかりとつなぐことです。 ひもがしっかり確実につながっていなければ乾燥や焼成時に亀裂を生じさせ、作品をだめにしてしまいます。
 ここで行う指導はこのような初歩的な失敗を避けるためのもので、特に大作や化粧泥を用いる作品においては侮ることは禁物です。
■縦の三重構造■
ストレートに積み上げる場合、上にいくほど広がってくるので、積み上げは、必ず内側に積みます
まず外側を先につなぐ
ささえの手は手の平全体を当てるのではなく、つなぎの部分に指先を当て、ささえる、これは土の乾燥を防ぐためで、土が乾き始めるとヒビが入り、つなぎにくくなります



○初心者でも失敗しない口縁の切り方
 陶芸初心者にとって、やっと形になった作品の口を整えるために弓を用いるのは大変不安でまた失敗することも少なくありません。
そこで安心して確実にカットできる “九炉土流” 口切法をお教えします。
道具は一般によく用いられる竹ベラと剣先カンナを用意し進めます。
以下1〜8の手順で



○木ゴテをこうして使うと、ひも作りが見違えるように上達
○木ゴテを手にすると、ついついこのように表面をこすりたくなるものである。しかし紐積みをしてつないだばかりの厚みのそろっていない表面をいくらこすっても凹凸は表から裏へと移動するだけで厚みはそろいません。 ○そこで木ゴテを写真のようにしっかりと持ち、つなぎを終えた外側表面に器の角度に合わせしっかり押し当て、その内側にもう一方の手の平指先を当て、挟むように土を押さえ、でっぱりを窪みへと移動させながら、厚みを均一にしていく。 ○厚みが整ったところで次に木ゴテを器の腰で必要な角度を保ちしっかりと押し当て、内側から手の平で少し押し出しぎみに一回り同じ高さを整え、少し上へと進める。胴、口辺へと同じ動作を繰り返し、全体の形を決めていく。



○確実にマスターできる “九炉土流” 菊練指導
 陶芸作品をよりよく確実なものへと仕上げるためには菊練は避けて通れませんが、なかなか上達できなくていやになっている人も多いでしょう。 そこで誰でも確実に上達へと結びつく“九炉土流” 菊練指導を致します。
 まず絶対守らなければならないことは、右と左の手の位置とその役割です。
 順手で練る場合、左手は押し手、右手は軸手となります。両手の親指と親指はピッタリと接し合わせ、以下に解説する1〜5の動作を行います。
さらに上達のポイントは、5の動作で、左手で土を押しつける際、多少のひねり(時計と反対回転)を行いながら、かならず右手方向(1時方向)に向け土を移動させることです。
 
右手親指と左手親指の間隔をあけないようにし、左手手首を強くひねり、右手方向に土を押しこむ



○高台径より広がりを持つ鉢や皿の作り方
 底の広い鉢を作る場合、小さな底から腰を広げ出せばへたりや歪みの原因となり失敗へと繋がります。
 ここでは、初心者の人も、また大きな鉢や壷などを作る場合も役に立つ腰の作り方、広げ方をお教え致します。
成形中や成形後の作品に水を塗り付け、滑らかにしようとするのは、作品中の水分バランスをくずし、歪みや亀裂を生じさせる原因となります。荒練りの効果を無くすようなことはしてはいけません

○弓の使い方
 弓を用いて口を切るのも初心者にとっては難しいことです。まず、弓の切糸を入れる角度とその位置がポイントとなります。7時〜9時の範囲で鋭角であることを守るのが大切です。
 
弓は左側8時の位置に鋭角になるようかまえ、ロクロは右に勢いよく回転させ、5〜6ミリは切り込むように入れ、しばらく静止させ、回転が止まる前に引き抜く。弓切りは回転の勢いで切るため、入れる角度や手のぶれによって失敗してしまいます。また途中で回転が止まれば水平には切れません。一瞬のタイミングが大切な技法です

○皮のあて方
 皮の当て方では、電動ロクロと違い、左手で回転させなければなりません。そこで皮を二つに折り、コンパクトに持ち、コントロールしやすくすることが大切と言えます。
 
指の位置と、つまむ力により口縁の形状が変わります。軽くつまみ5〜6回回転させるときれいに仕上がります
切り糸は作品に巻きつけるように引くことで、作品が糸について動くのを防げます。左手は、いつも盤面をつまんでいれば、右手の動きに注意を払っているだけで失敗を防ぐことができます。



○木ゴテを上手に使い作品のグレードを上げる
 ひも作りをマスターすれば、高レベルの公募展で入選を果たせるような、自由な形であり大きな作品の成形も可能となります。
 日本新工芸展・日展・女流陶芸展・朝日陶芸展・日本陶芸展は、日本では最もレベルが高い公募展と言えます。それだけに入選はそう容易ではありませんが、私の生徒の多くは2〜3年という短期間でそのレベルに達します。それはデザイン力を上げることにもありますが、技術面ではひも作りでの木ゴテと指使いの徹底指導にあります。ここではそのスペシャルテクニックを披露致します。
 まず木ゴテを作品表面に平らにしっかり当て、内側に入れた指との間で厚みや形を整えていくというものです。壷では肩にボリュームを付けるために、また、あらゆる形を造り、更に表面をきれいに仕上げることができるハイテクニックです。じっくり取り組みマスターして下さい。
コテは右手で平たい部分が作品の表面に当たるようにしっかり持ち、作品の丸みに合わせて押しつけるように当て、内側に入れた左手の指全体を使うように反らせ、コテに押しつけるように土をはさみ凹凸がなくなるまで繰り返す。このときコテはしっかり当てていないと形が崩れ、またコテの当て位置を丸みに合わせて角度を変えて移動させなければ丸みがつぶれてなくなっていくこととなります。常に形の確認を。
コテは常にしっかりにぎり、コテでこするのではなく、平たい面を作品表面に当てがう。内側に入れた指は逆反りぎみに反らせ、外に当てたコテに土を押しつけぎみに凸部分を押さえ厚みを平均化させていく。このとき肩の内側などひものつなぎのしにくい箇所はひもの土を上から下にコテに押しつけるように移動させることによりつなぎを確実なものとすることができ、内側の凹凸も取り除くことができます。これは釉がけを行ったときの掛かりむらを防ぐこととなるので丁寧に仕上げることが大切です。



コテで表面をこすることで凹凸を消すことができますが、これは凹凸が取れてなくなったのではなく、大半は反対面に移動したにすぎず、従って、内外、内外とコテがけを繰り返しても凹凸をなくし厚みをそろえることにはなりません。
そこでコテでこするのではなく、コテの平らな面を作品の表面に当て、内側に当てた手の平とではさむことで凸面をつぶし、なくしていきます。さらにコテはひものつなぎを助けると同時にきれいな丸みを作り出すのにも効果を発揮します。コテには種類があるので目的に合ったコテを用い、ケズリに頼らないきれいな仕上げを目指しましょう。
胴の太い壷などから細い首を作りだしていくのは結構難しい技術ですが、首がうまく中心にきていないとバランスの悪い形となります。そこでまず肩から首にむけ何周も同じ動作を繰り返し、作りたい首の太さになるまでしぼりこむ。次に指を深く内側に入れ指先を作りたい丸みに曲げ、首のつけ根に当てる。少し引き上げぎみに力を固定させ、外の指で押しはさむようにしながら形づけていきます

■板作り(タタラ作り)■
 タタラ作りとは、粘土の塊を板状(5〜10mm程度)の厚みに切り、反らせて皿に、また筒などを芯に丸めてコーヒーカップや筒花入へと成形を進める技法で正しい指導の下作陶を行えば初心者であってもきれいな仕上がりが得られる技法です。
 但し、大きくなればなるほど亀裂や反りによる失敗も生じやすく、菊練、叩き締めを充分に行い、切り方も正しく進めることが大切です。
 
○失敗をなくすための切り方○



○盒子のダボ式蓋合わせ○
 盒子(蓋物)の蓋の滑り止めの付け方にはいくつかの種類がありますが、ここでは、凹凸のダボ式の止め方を解説致します。

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